マチノコト

2014.5.26

荻窪に地域開放型の共同住宅を作りたい。参加型で設計を進める「荻窪家族プロジェクト」

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将来に渡って生活していく上で、考えなくてはならないことは複数あります。子育て・介護保険・医療保険・住まい・家族・看取りの場所(自宅・病院・特養等などなど、どれも無視のできないもの。

受け継いだ不動産を使って、可能な範囲で少しでもこの地域で最後まで暮らせるようなものを提供したい。

そんなことを考えている人が荻窪に存在します。親の介護に際し、これからの医療・介護事情や、一般的な家庭の介護力などを知ることが出来たため、このように考えたそうです。

荻窪家族プロジェクト」は、お年寄りだけではなく、子供も若者もペットも、自然な感じでそばにいられる場所を作ろうというもの。

多世代で暮らし、ともに助けあう共同住宅。そんな場所をつくるためには、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。今回、このプロジェクトの一環として実施されている「事前リノベーション」を取材しました。

生活者と共に設計する

設計全体を担当しているのは、一級建築士事務所の「連健夫建築研究室」。

連健夫さん

連健夫さん

連健夫さんは、これまでのようなデザインの一方的な押し付けをやめ、生活者と一緒に設計を進めていくやり方を学んできた人物。コラージュを用いた参加の設計などを実施しています。

町並みに合わせる、集会室、子育て支援。これまで「荻窪家族プロジェクト」の瑠璃川さんがやってきたことを、誕生する新しい施設でも可能にするために設計に組み込み、「開かれた場、人のつながり、ルーツ」といったイメージを形に落としこみます。

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住宅の中にはパブリックとプライベートを段階的に作っていく。ホールには居住者用のパブリックな場所を用意し、少しずつ公共的な空間になっていくそうです。

このあたりの、パブリックとプライベートの分け方に対して新たな捉え方を実施するというのは山本理顕さんの著書「地域社会圏主義」でも触れられています。

事前リノベーションワークショップ

「荻窪家族プロジェクト」は、現在ではまだ少ない事例のプロジェクト。そのため、プロジェクトの趣旨を理解した人に入居してほしいという運営側の想いがあります。また、可能であるなら住宅がオープンするまでに入居者を集めたい。

これらのニーズにも合致し、住む人々の満足度を高めるための手法として、事前に居住権当者とともに共有部分をリノベーションするというアプローチをとっています。

事前のリノベーションワークショップを担当しているのは「ツバメアーキテクツ」。ツバメアーキテクツは「カラフルな社会構築」というコンセプトで、プロフェッショナルが半分ほどデザインし、残りの余白を実際にその空間に関わる人の多様性を反映させながら全体を構築するというアプローチをする建築事務所です。

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今回、筆者が取材に伺ったのは第二回目の開催となったワークショップ。その序盤には第一回で出たアイデアの共有と再確認が行われました。

  • 地域の人と一緒に御飯を食べる
  • 芸能の寄席をやる
  • 落書きがたくさんされるような仕組み
  • 朝食ワークショップ

第二回のワークショップではこれまでアイデアをさらに具体的にするために、各グループごとにワークを行いました。

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このワークショップでも、料理教室やアイランド型のキッチン、裁縫教室など、荻窪にできる新しい住宅でコミュニティが盛り上がるためのアイデアが登場しました。

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荻窪家族プロジェクト代表 瑠璃川正子さんの想いは、

「父から受け継いだ不動産を使って、私ができる範囲で 地域の方々が ここで最後まで暮らせるようなものを提供したい。」

というもの。瑠璃川さんの想いに、いろんな人たちがのっかる地域開放型の賃貸共同住宅「荻窪家族」がどのような場所になっていくのか、今から完成が非常に楽しみです。

荻窪家族プロジェクトは、今月末に開催される「すぎなみはじめの一歩まつり ~大人塾まつり2014~」に出店予定だそうです。このプロジェクトに関心を持った方は、お祭りに足を運べば雰囲気がつかめるかもしれません。

イベントの詳細は以下のとおりです。

地域にひらく コミュニティ型すまいとは

日時:2014年5月31日(土)
13:00~15:30(受付開始 12:30)
13:00〜タイルワークショップ、
13:45〜荻窪家族プロジェクトのプレゼンテーションとディスカッションを予定
場所:セシオン杉並地下体育室 杉並区梅里1-22-32 丸ノ内線東高円寺駅下車 徒歩5分

大人塾まつりでは、敷地内の床に貼るタイルをつくるワークショップ(先着30人無料)と、荻窪家族プロジェクトに携わる4人(瑠璃川正子氏、澤岡詩野氏、連健夫氏、山道拓人)のプレゼンテーション、ディスカッションを行います。

連絡先:info@tbma.jp

junyamori

inquire Inc. CEO、NPO法人マチノコト理事。1987年2月生まれ、岐阜県美濃加茂市出身。『マチノコト』の編集を担当する他、一般社団法人HEAD研究会フロンティアTF副委員長、ローカルメディアネットワーク『IDENTITY』を運営中。『THE BRIDGE』『マチノコト』『soar』など複数のメディア運営にも携わる。

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