マチノコト

2015.7.8

大学と地域をつなげる図書館カフェ「note cafe」がオープン!東京学芸大学と地域の民間企業が共同で

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地方創生に注目が集まっている中で、よりよい地域づくりをしていくために、活かされるべきひとつの資源として、その地域にある「大学」があると思います。

大学生や教職員が地域の現場に入り、地域住民やNPO等とともに、地域の課題解決や地域づくりに取り組むケースは全国的にも多くあります。

しかし、地域住民が大学構内に出入りをして大学生とつながりを持つ機会はなかなかないのではないかと思います。

地域の人々と大学生や教職員の交流を日常的に生んでいくことができたら、地域と大学がお互いに創発され、いい関係が生まれていくはず。

2015年6月に地域と大学が協働する先進的なプロジェクトとして、東京学芸大学で地域にも開いたカフェ「東京学芸大学図書館カフェ note cafe(ノートカフェ)」が始まりました。

大学と地域がつながる図書館カフェ

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この図書館カフェは、大学と地域住民との交流の場を目的として、東京学芸大学図書館1階につくられました。

小金井市にある国立大学法人東京学芸大学が、地元企業である株式会社タウンキッチンに運営を委託して開いたものです。

2015年5月に大学の附属図書館がリニューアルされるにあたって設置されることになり、地域住民や一般の人も自由に利用できるそうです。

緑豊かな小金井市にある東京学芸大学

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図書館カフェができた東京学芸大学は、東京都小金井市にある教育学部を中心とした大学です。

小金井市は、東京都の西側に位置する中央線が通る地域で、企業が少なく、市内のほとんどが住宅地でベッドタウン型の市。

桜の名所として知られる小金井公園や、湧水をあつめて流れる野川周辺の「はけ」と呼ばれている場所があり、自然が溢れるとても緑豊かな地域です。

東京学芸大学に通う学生には、4年間をこの小金井市周辺に住む人も多いのですが、大学が地域とのつながりを持つ機会は少ないのが現状でした。

『学芸の森』と呼ばれるほど緑豊かで開放的なキャンパスが魅力ですが、地域住民が大学に立ち入ることはほとんどなく、大学生との接点が生まれることもなかなかありませんでした。

地域にコミュニティと仕事を生み出すタウンキッチン

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この図書館カフェを大学に委託されて運営しているのが、小金井市の地元企業である株式会社タウンキッチンです。

地域の人が集まって、つながりの中で価値が高まっていく “場”を地域に生み出すことを目指しているタウンキッチンは、小金井市周辺地域を中心に様々な事業を展開しています。

小平市の商店街の一角を利用した「学園坂タウンキッチン」では、「食の小商いプロジェクト」を行い、主婦が料理やお菓子など日替わりで小商いをし、地域の人々とのコミュニケーションをとる場をつくっています。

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そのほか、中央線東小金井駅の高架下にある市の創業支援施設「東小金井事業創造センターKO-TO」を指定管理者として運営。

こちらは地域に根ざし、暮らしに近い場所で仕事をつくることを応援し、地域コミュニティのハブとなる人を生み出していこうという取り組みです。

今回の「note cafe」プロジェクトは、学芸大学の副学長・図書館長の藤井健志先生が “大学と地域の交流の場をつくりたい”との思いを持たれ、 昨年公募が出された際にタウンキッチンが応募するかたちで協働が決定しました。

地域住民と大学生を巻き込んで

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地域連携を目的としたカフェを大学と地元企業が協働で進める、先進的な取り組みとして始まったこのプロジェクト。

名前に使われた「note」は、心に留める、気づくなどの意味があり、「未来の社会に活きる知恵やアイデアが綴られる新しいカフェをつくりたい」という思いがこめられています。

カフェがオープンするまでには、教職員や学生、地域の住民など、多様な人々が集まり一緒にディスカッションを重ねてきたそうです。

地域で活躍するデザイナーとコンセプトを考えたり、東京学芸大を含む近隣大学生とワークショップ形式でメニューを考えたり、NPO法人東京学芸大こども未来研究所をはじめたくさんの教職員と大学と地域の連携について意見交換をしたり。カフェを立ち上げるまでに、地域と大学がまさに一体となって準備を進めてきました。

地域情報を発信し人と人をつないでいく

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6月6日に地域内外から様々な人々がお祝いに駆けつけたオープニングパーティが開かれ、note cafeがオープン。

カフェでは本格珈琲と店内オーブンでの焼きたてベーカリーを提供するほか、地域でつくられた生産物をつかった地産地消のメニューを提供します。

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地域とカフェの関わりをつくっていくために、店内の壁一面に書き込みやマグネットでの掲示が可能な4m近くあるホワイトボード「note map」も設置。近隣大学や店などの地域情報を発信したり、おすすめのスポットなどを書き込んでオリジナルマップを作るワークショップを開催しています。

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近隣の美術館や大学などのパンフレットをそろえたインフォメーションスペースや、自由に書き込める『おさそいノート』『はっけんノート』など、訪れた人同士の交流が生まれる仕掛けがあります。

今後は公開講座やトークイベントも予定し、企画メンバーを学内外問わず広く募集し、関わってくれる人たちと共にカフェをつくっていきたいそうです。

地域の拠点となるカフェへ

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株式会社タウンキッチン代表の北池智一郎さんはこう語ります。

地域での取り組みをしてきた中で、近くて遠い存在だった『大学』に大きな可能性を感じます。note cafeは教育研究成果を発信する役割も担っており、地域経済への貢献や学生の進路などにつながります。
今後は、まち・ひと・しごと創生への展開も構想しています。

大学の一角が、公民館や公園などのパブリックスペースが担ってきたような役割を担い、地域の人が集いつながる新しいスポットとして機能していくと、まちはもっと面白くなる可能性があると思います。

地域の人が困りごとがあったり何か始めたいことがあったとき、もっと地域のことを知りたいなと思ったときに「大学の図書館カフェに行って相談してみようかな」となったら、いいですよね。

大学生の持つアイデアや行動力が活かされれば、よりよい地域づくりが生まれていくと思いますし、地域の多様な大人と出会い交流することは、大学生たちにとっても様々な生き方や働き方を知ることにもつながります。

大学と地域が共にカフェをよりよい場所に育てていくなかで、多様な人々が互いに気づきを得て学び合い、協働が生まれていく。

この場所でどんな創発が起こり、地域を変えていくのか。これからがとても楽しみなプロジェクトです。

関心を持たれた方は、ぜひ「note cafe」を訪れてみてください。

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工藤瑞穂。 「soar」プロジェクト代表・編集長、「HaTiDORi」代表、ダンサー、元日本赤十字社職員。1984年青森県生まれ。宮城教育大学卒、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム修了。NPO法人ミラツク研究員、Webメディア「マチノコト」ライター。

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