2013.11.20
地域の魅力を発信する手段は多岐に渡ります。外国人旅行者を増やすためのインバウンド施策や、地域の歴史的文化を分かりやすく発信することなどさまざまな手法があります。そうした中、朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台となり、注目が集まっている岩手県では、9月27日から無料のWebコミックサイト「コミックいわて」をスタートしました。
2014年2月まで、岩手県達増拓也知事の責任編集のもと、岩手県にゆかりのある漫画家が、岩手をテーマに描く漫画を掲載しています。掲載タイミングは、毎月第2・第4金曜にて描き下ろし作品を配信予定で、こうした自治体がWebコミックサイトを運営するのは初めてだそうです。
サイトにはマンガ目次、いわて漫画MAP、読者の声まとめなどのコンテンツが掲載されています。「いわて漫画MAP」には、岩手県に関するマンガ情報として「岩手県ゆかりの漫画MAP」、「岩手県が舞台の漫画作品MAP」、「岩手県出身の漫画の登場人物MAP」などが掲載されています。岩手県ゆかりの漫画家として、岩手県出身の漫画家さんとその作品、さらにその漫画家が出身か在県かまでが書かれています。漫画もジャンルも、少年漫画や少女漫画、青年漫画などさまざまなジャンルの漫画家の情報が網羅されています。
もともと、漫画を活用して岩手の文化や景色の魅力を発信する地域振興の取り組みの一貫として「いわてマンガプロジェクト」が開設されました。岩手をテーマに描いた漫画を収録した単行本「コミックいわて」がすでに現在で2冊発行済で、今回はそれらをウェブ上で発信していこうという取り組みです。また、若手漫画家を育成することを目的に「いわてマンガ大賞」も県は主催しています。
創刊記念では、花巻市出身で「ときめきトゥナイト」の池野恋さんによる銀河鉄道の夜をモチーフとした『星のおくりもの』という作品や、盛岡市出身で「彼女とカメラと彼女の季節」の「月子」さんによる開運橋をモチーフにした『かえり道』という作品を2本同時に配信しました。最近の掲載作品として、第3回「いわてマンガ大賞」の大賞受賞作品の空木由子さんによる『桜の木の下で』が掲載されています。また、それぞれのマンガ閲覧ページから、関連する観光情報のリンクページに進むこともできます。また、今後はグラフィックや音楽、ゲームなどデジタルコンテンツの分野に対しても支援していきたいという。
漫画という切り口から、地元にゆかりのある漫画家さんの協力のもと、地域の魅力を発信するコンテンツを自治体が運営するという新しい手法は、まだまだ大きな可能性が秘めています。「くらげバンチ」というウェブマンガでも、井田ヒロトさんによる「お前はまだグンマを知らない」という群馬県の文化や風習などを発信する漫画が描かれており、ネットで話題となるなど、地域の魅力や文化をさまざまな手法で発信しようとしている人たちがでてきています。
こうした地域に根づいた取り組みは、東京にいる地元出身者でも関われる道ができるかもしれません。地域を盛り上げることに対して何か手伝いたいと考えている民間や個人と自治体とが連携し、流行やブームだけではない継続した取り組みが行えるかもしれません。地元の自治体や商店街と漫画家などのクリエーターやアーティストが協働し、地域の面白さや文化、歴史を分かりやすく届ける方法を考えてみると、アイディアはまだまだ出てきそうです。
【関連サイト】
コメント