マチノコト

2015.8.17

東京の水辺をフィールドに環境問題を考えよう!都市の環境教育ガイドクルーズ「都心の水辺でエコツアー」

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大都会の東京都心で暮らしていると、自然と触れ合う機会も少なく、環境問題が深刻であるとわかっていても、実際に身をもって環境について考えさせられるきっかけはなかなかありません。

以前マチノコトでも紹介した「せたがや水辺デザインネットワーク」など、東京の水辺をフィールドに環境教育や地域ネットワークづくりを行っている団体がいくつかあります。

NPO法人あそんで学ぶ環境と科学倶楽部」は、環境問題に対して関心がない人でも、みんなで一緒に楽しみながら水辺の歴史と環境問題について学べるエコツアーを都心の水辺で企画しています。

NPO法人あそんで学ぶ環境と科学倶楽部

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「NPO法人あそんで学ぶ環境と科学倶楽部」は、一人でも多くの人に環境について正しい知識を身につけ、環境保全に取り組んでもらえるよう活動している団体です。2005年11月にスタートし、東京の水辺をフィールドにさまざまな環境保全・環境教育活動を行っています。

「海や川を綺麗にしたい」「環境を守りたい」という思いを持った学生や社会人、そして主婦や定年を迎えた方々などがボランティアスタッフとして活躍しています。

これまで、東京湾に流れ出た漂着ゴミの回収活動や子供達と一緒に人工干潟を蘇らせる取り組み、湖畔で展開するキャンプ体験・農業体験など、様々な活動に取り組んできました。

東京をフィールドに水辺を学ぶ

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「NPO法人あそんで学ぶ環境と科学倶楽部」の活動のひとつである「Enjoy Eco School」。

その中でも特に人気なのが、東京をフィールドに、川の歴史や水路の役割、かつての水質改善の取り組みなどを案内してもらいながら巡るガイドクルーズ「都心の水辺でエコツアー」です。

東京に存在する川のほとんどは、およそ400年前に人の手によって作られた水路です。江戸城構築と江戸の街づくりを通して、整備された濠と運河が基となり、物流の中心となっていた水路は、第2次世界大戦後、モータリゼーションの発達とともに役割が変わったうえ、家庭から排出される下水により水質環境は悪化していきました。

しかし、ここ10年ほどで環境保全対策が進み水質環境は向上し、東京の川や海は憩いの場や癒しの空間へと移り代わりつつあります。東京の水路や水辺には、歴史的資源が残りかつての水辺との関わり方を見る事ができる場所や、水質改善のために整備された施設や取り組みなどもあります。

これらの資源を使って体験型の環境プログラムを提供し、一人でも多くの方に楽しみながら環境保全意識を高めていくために行われているのが、「都心の水辺でエコツアー」です。

都市で感じられる環境教育プログラム

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このプログラムは、3つのエリア(神田川・日本橋川/小名木川/天王洲・芝浦)をフィールドに、まだ日本に数隻しかない環境配慮型ボート(エレクトリックボート)で行われます。

人口水路である神田川や日本橋川、水害が発生し水門が設置されている小名木川、高度経済成長期に埋め立てが行われた地区の水辺を含めた新しいまちづくりが行われている天王洲・芝浦など、それぞれ違う切り口から東京の水辺環境について考えることができるツアーを選ぶことができます。

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こちらには東京の水路をクルーズしていたいという個人や団体、修学旅行で東京を訪れる学生など、年間で約2000人が参加するそう。環境省及び日本エコツーリズム協会主催の「エコツーリズム大賞」でも、優秀賞を受賞するなど、都市で感じられる自然体験プログラムとして評価されているツアーです。

環境問題をもっと身近に

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他にも親子で体験できる水辺ツアーや環境問題について学べるエコイベント、水辺の清掃活動、環境省で呼びかけている「COOL SHARE(クールシェア)」という家族や地域で楽しみながら節電になる取り組みのひとつとして「夕涼みクルーズ」など、様々なかたちで水辺と人々の関わりをつくっています。

代表の中林裕貴さんはこう語ります。

環境問題は、目に見えて影響を感じる事が少ないため、今でも行動に移す人が多くありません。
しかし、確実に私達の生活に影響を及ぼしています。東京の水路を楽しみながら巡ると、こうした問題を目の当たりにすることができ、さまざまな行動の理由が理解できるのです。一人でも多くの人に、環境保全活動につなげる橋渡しをすることが、私達NPOのミッションです。

「環境問題が深刻だからちゃんと考えよう」とメッセージを発しても、なかなか無関心な人の心に届くのは難しいですが「都心の水辺でエコツアー」は、楽しみながら環境について知ることができます。

オフィス街である日本橋や神田川など、身近な東京の水辺をいつもと違った視点で見ることによって気づくこともあるはず。

東京のど真ん中で自然を体感できるこのツアー、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

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工藤瑞穂。 「soar」プロジェクト代表・編集長、「HaTiDORi」代表、ダンサー、元日本赤十字社職員。1984年青森県生まれ。宮城教育大学卒、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム修了。NPO法人ミラツク研究員、Webメディア「マチノコト」ライター。

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