マチノコト

2015.3.17

オマツリジャパン山本陽平さんと「地域の祭りのあり方を考える」ーー五日市ごえん分校レポート

2014年4月に東京都あきる野市五日市で開催された野外音楽フェス「OTODAMA FOREST STUDIO」。その運営メンバー・ボランティアスタッフの「五日市をもっと楽しい街にしたい」という思いから生まれた「五日市ごえん分校」。

地域の課題ー今後のヨルイチをさらに盛り上げて行くアイデア募集の場として、3月のごえん分校が開催されました。

オマツリジャパンの授業をグラフィックレコーディングで

オマツリジャパンの授業をグラフィックレコーディングで

お祭りで地域を、日本を変えることを目指す

今回のゲストはお祭りのコンサルをしている、「オマツリジャパン」代表の山本陽平さんが登壇し、まずは日本の祭りの現状と、オマツリジャパンの活動に関して授業をおこないました。

山本さん「日本にはお祭りが30万祭(※以下、祭りの単位を「祭」とする)。その中で、神事・仏閣関連が約17万祭、商店街や小学校などの地域活性化系は13万祭と、こんなにも多種多様な祭りがあるのは世界的に見てもほぼなく、お祭り天国な国と言えます。しかし、現状は少子高齢化などによる祭りの担い手不足、アイディアのマンネリ化による活気不足などの課題に直面しています」


オマツリジャパン山本陽平さん

オマツリジャパン山本陽平さん

お祭りジャパンでは、そんな日本をとりまく祭りの現状を受け「お祭りで日本を盛り上げる」、3つの活動をおこなっています。

  • お祭りプロデュースー面白いお祭の企画・開催
  • お祭りツアーの開催ーおもしろい祭への参加
  • お祭り情報の発信ーおもしろい祭のWEB紹介

昨年7月に代表2名で発足し、「なかのビジネスプランコンテスト 最優秀賞」「みたか ビジネスコンテスト 優秀」「吉祥寺ビジネスコンテスト 審査員賞」とビジネスコンテストを受賞、活動の場を広げてきました。現在、デザイナーや編集者、音楽家やコンサルなど約120名の祭り好きなサポーターが集まっています。

①お祭りプロデュース事業

お祭りの運営団体から依頼を受けて、企画をし、商工会や全振連などから補助金などをもらえるようにマネタイズまでおこないます。

去年は、三ツ境商店街のハロウィンを近隣川崎に負けない祭りにしようと、「ジャパニーズハロウィン」日本の妖怪で百鬼夜行をおこないました。結果、2013年には 200人だったのが2014年には1000人まで集客の大幅アップにつながりました。

②お祭りツアー事業

お祭りのツアーを組むとともに、オマツリジャパン自体を祭りのコンテンツ化します。参加者が増え、楽しむ人が多くなることで、祭りに対する満足度が上がり、リピーターを促します。たとえば、三大奇祭 悪態祭りでは24人で悪態をつくツアーを開催し、多くのメディアに(オマツリジャパンのメンバーが)取り上げられました。

同じ衣装を着たり、地元の人と見間違うほどに積極的に参加したり、メンバー自身ももちろん、まわりの人にも楽しんでもらえるよう工夫したツアーにしています。役場の観光系の方と組むことが多いそうです。

③お祭りWEB事業

お祭りの口コミポータルサイト・マッチングサイトの作成・facebookの運営をおこなっています。お祭りの口コミポータルサイトに関しては、現在、どこにどんなお祭りがいつあるのか、情報がまとまっている場がなく、お祭り好きのネットワークや個人ブログからの発掘となっているのが現状です。

今年中にはリリース予定とのこと。マッチングサイトはお祭りを仕掛ける側が、イベント会社や屋台の募集をしたり、参加者の募集などを想定しています。Facebookは即時的な情報を提供できるように運営中です。

今後に関して考えていることをお聞きしました。

山本さん「神事としてのお祭りにいかに参加していくか、というのが課題。地域活性のお祭りにはコンサルトして参加できているものの、神事などのお祭りはツアーとして参加にとどまっています。

担い手不足や外部の人が入りにくいなどの課題の多くは、神事としてのお祭り。そこにもっと参加し、祭りを盛り上げて行ける体制を強化していきたい。そのためには、メンバーが120人というのは正直少ないです。各地元にある地域活性のNGOや大学などと連携して、祭りを盛り上げるスキームを作っていこうと思っています」

五日市の新しいお祭り、ヨルイチから商店街の活性化へつなげたい

後半では、五日市のヨルイチ(※)実行委員長の内山さんが現状を話し、そこからヨルイチのアイデアを話し合うワークショップをおこないました。

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※ヨルイチとは・・・神事である伝統的な例大祭とは異なり、地域の新しいお祭りとして12年前から始まった。商店街への集客を目的とし、夕方から始まる。片道2kmもある商店街が5000の人々でにぎわう大きなイベントとなっている。

共有された現在の課題は以下のようなものたち。

  • 普段の営業につなげたい
  • 一回のイベントで終わらせたくない
  • 参加型のコンテンツがあまりない
  • 滞留の仕組みが欲しい
  • “道が長いので片道しか歩いてくれない”


チームに分かれて企画中

チームに分かれて企画中

オマツリジャパンのメンバーと、地元のメンバーを合わせた混合チームでアイデアを企画。各チームは時間になってもまだまだ話したい!と大盛り上がり。おもしろネタから地域活性化の真面目なものまで、数多くのアイデアが生まれました。

ごえん分校から生まれたアイデアたち

「今すぐできそう!」と盛り上がったのは、スタンプラリーのアイデアでした。スタンプラリーの形式は、要素を工夫し、切り口を変えることで、地元の魅力もアピール。例えば、チェックポイントの設定次第では、長い距離を回遊する仕組みをつくることができ、クイズなどのお題によっては地域への理解を深めることができます。

他の回遊周遊のアイデアとして、商店街のエリアにわけてテーマを決め、世界観を変化させる提案も上がりました。テーマパークのようにすることで、歩いて見ること自体が楽しめるコンテンツに仕上がるのではないでしょうか。

また、ヨルイチの枠にとらわれない広い視点のストーリー性あふれるアイデアも。まちこん×スタンプラリーで五日市地区の移住人口を増やすという壮大な提案「五日市クエスト」では、RPGに見立てた一日のストーリーが語られました。昼にBBQでペアリング。

夕方からのヨルイチでは、ダンジョンに見立てた商店街を二人で探検。小道に入ると行けどまりや迷路に。食材を集めて料理をしたり(借り物競走)、五日市にまつわる謎解きゲームをしたり、出展場所で休憩しながら仲を深めていきます。うまくいけばそこで狐の嫁入りを。就職はもちろん商店へ。このように、お祭りに1つレイヤーをかぶせることでストーリーを生みだすことができます。

やりたいと評判だったのは、三ツ境のおばけ屋敷を参考にした「参加型!おばけ仮装コンテスト」。これは参加者みんながおばけに仮装して練り歩くという企画です。商店街にとどまらず、鍾乳洞×お化け屋敷、空き家×お化け屋敷、廃校×お化け屋敷、仮装行列×お化け屋敷など広がりも見込めるのも魅力的でした。

最後に山本さんより。

山本さん「4時間近くの長丁場のワークショップ。一見疲れ果ててしまいそうだけど、疲労感は全くないですね。この部屋が「何かを変えてやろう」という想いや熱気でアツいです!

自分としても、当初話を聞いたときから「ヨルイチ」のキックオフを今日という日にしたい、と思って来ました。今、ここにいるメンバーがこれからのヨルイチの中心メンバーになるんじゃないかと思っています。

今年、来年、5年後10年後と、今日が中長期的な変化の第一歩だと思うと、来た意義がとてもあると思っています。今日がスタートです、わっしょい!」

参加者の集合写真 かけ声は「わっしょい」

参加者の集合写真 かけ声は「わっしょい」

2015年4月は「ごえん分校フェス」を開催!東京の森の中の廃校で、音楽・映画・ものづくり、トークショーなどが楽しめます。

ごえん分校フェスの概要

■開催日:
2015年4月26日(日)

■時間:
開場 11:00 / 開演12:00 / 終演 18:00頃予定

■会場:
小宮ふるさと自然体験学校(東京都あきる野市乙津1984)

■ライブ出演:
住岡梨奈 / 平井 大 / Brand New Vibe / and more!!

■映画上映作品
彼女の告白ランキング/サムライオペラ/リメンバーホテル/私の小旅行/and more!!

■トークショー登壇ゲスト
龜石太夏匡(株式会社リバースプロジェクト 共同代表) / 牛山翔太(株式会社リバースプロジェクト ディレクター) / 渡部岳/and more!!

■落語:
鈴々舎 馬るこ

■料金
・ライブ付きチケット
前売り3,500円 / 当日4,000円(入場時ドリンク代別途500円必要)
※ライブを含めた全てのコンテンツがご利用いただけます。

・ライブなしチケット
前売り1,000円 / 当日1,500円(入場時ドリンク代別途500円必要)
※体育館のライブ以外のコンテンツをご利用いただけます。

■主催:
五日市ごえん分校 / 音霊 OTODAMA SEA STUDIO

■後援:
あきる野市


書き手:Eriko NARUKI(ナルキエリコ)。千葉大学工学部建築・都市科学専攻修了。Studio-Lにて2012年海士町で”Iターンのための暮らしの手帳”制作。2014年エリアのリアルを伝えるエリアルに参画、移住フェス実行委員、Hitotowa・三井不動産と都市のコミュニティづくりに取り組む。グラフィックレコーダー。

編集部マチノコト

マチノコト編集部

コミュニティデザインやまちづくりをテーマにしたメディアプロジェクト『マチノコト』編集部のアカウントです。

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