マチノコト

2015.5.17

ライフスタイルから考える移住とはーー京都移住茶論vol.19を終えて

過去にマチノコトで取り上げてきた「京都移住計画」。「居」「職」「住」をテーマに、移住者や移住検討者への「コミュニティ」「仕事」「住まい」の紹介をしています。他にも、福岡移住計画岩手移住計画サッポロ移住計画島根移住計画佐賀移住計画などの動きが各地で進んでいますが、「〜移住計画」の始まりは、京都からでした。それぞれが生きたい場所で生きるための地域の選択肢が増えていくのはうれしいですよね。どの地域が絶対的に良い、ということはありません。“どの地域が自分(やその家族)とフィットするのか”は大切にしたいことです。 また、各地域のフロントランナーが集う「移住フェス」の動きも生まれるなかで、移住における課題に地域性がある一方、どの地域であっても共通した考えもあります。

そういった移住におけるヒントを、京都移住計画の「京都移住茶論」から共有できればと思います。ライフスタイルとワークスタイル、どちらから移住を考えますか?(以下は、「京都移住茶論 vol.19 レポート」を一部修正して転載)


皆さんは移住を考えるときに、どんなことを不安に思いますか?

知り合いがいない場所でも大丈夫なのかな?
自分がしたい仕事ってあるのかな?
住むエリアってどこが合ってるんだろう?

漠然とそういった不安を抱えている人が多いように思えます。

今回5月2日に開催した京都移住茶論では、そんな不安や疑問への一つの答えになるお話も聞けましたので、イベントのレポートと共にお伝えしますね。

会場は初めて利用させてもらうREDIY。面白い場所なので、少しだけご紹介させてもらいます。

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ー REDIYの外観(古びた感じがなんとも言えませんね)

REDIYは京都市中央卸売市場脇にある元乾物屋さんを、『これからの場所をつくる人のための職住一体型クリエティブセンター』というコンセプトの下、オフィス・工房・住居が借りることができ、木工や鉄工ができるオープン工房を仲間とシェアすることができるという、これまでになかった複合型のスペースです。

いま話題のリノベーションというキーワードで、京都で最もホットな場所の一つ。
間取りのイメージはこんな感じです。居住部分のシェアハウスでは、2名ほど募集しているとのこと(興味ある人は是非!)。

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移住茶論で使わせてもらったのは、2F部分のシェアオフィスとカフェになる予定の場所。写真を見て分かる通り、実は壁や床貼りなどの途中の状態で、今回は利用させてもらいました。

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ー 小学校の机や椅子など、懐かしのアイテムが並ぶ会場

そんな現在進行形で形づくられていく会場を舞台に、40名近くのお客さんたちと共にいつもより1時間ほど長い4時間という拡大版でお届けしました。(当日はテレビの取材も入り、会場が熱気に包まれていました…というか暑かったですね。)

①トークセッション(移住者の二組をゲストに移住を考える)

まずは移住者とのトークセッション。移住済みの二組のゲストにお話を聞きつつ、様々な移住のケースを共に知る時間。「今されていること」「移住したきっかけや理由」「移住して良かったこと、悪かったこと」という問いでお話を聞いていきました。

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ー 一人組目は菱川さん(2014年に移住)

大阪・神戸のWeb制作会社にてマークアップエンジニア、企画・開発ディレクターとして3年間勤務。2010年よりフリーランスとしてノットニル・クリエイティブを立ちあげ独立。企業のWeb戦略を改善するディレクション業務、オープンソースCMSの導入支援・開発業務を主に手がける。2012年よりコンクリートファイブジャパン株式会社を設立、代表取締役就任。オープンソースCMSのconcrete5を中心にしたビジネス環境の構築に取り組む。近著に『concrete5 公式活用ガイドブック』(マイナビ)。

海外に本社を置く企業のサービスを、日本に展開する事業を中心に事業を行っておられます。なんと会社全員が自分が住みたい場所を中心に、リモートワークで仕事をされているとのことで、働く場所に縛られずに会社員として仕事をしたい人には良いかもしれません。

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ー 二組目は、中村ご夫妻(2012年に移住)

2012年に東京から京都府乙訓郡大山崎町へ夫婦で移住。独学でコーヒー焙煎を学び、翌年「大山崎 COFFEE ROASTERS」を開業。京都を中心にケータリングやマーケットイベントなどへの出店も行う。2014年には地域の有志メンバーと「oYamazakiまちのこしプロジェクト」をスタート。現在は山崎地域をロケ地とした映画を制作中。夫の佳太はライターとして、コーヒーや身の回りのことを中心に執筆活動も行う。

ちょうど1年前くらいにTwitterでお知り合いになった中村さんご夫婦。自分たちのペースで仕事を作りながら、最近は映画づくりなどをはじる等、まちへの関わりも広げていかれています。

京都で会社(事業)をすること、京都で小商い(生業)をつくることについて、もっと時間が許せば色々と聞いてみたかったのですが、なかなか時間の都合上、難しくもありましたが、移住する人のケースを知る機会にはなったのではないかと思います。

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ー 右から菱川さん、中村ご夫妻、田村(移住計画)

②ワークショップⅠ

続いては、移住済みの方と移住検討中の方がグループになり、お互いの自己紹介をしながら、移住や定住を考える上で話してみたいテーマを付箋に出し合うというワークショップ。

その付箋を「居」「職」「住」という3つのグループに分けていきます。「居」のテーマの付箋が多く、コミュニティや人とのつながりに関心が多いようでした。

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ー 移住検討中の方が多い印象でした

中村夫妻にご協力頂き、コーヒーブレイク(八つ橋を添えて)

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ー 約40人前を丁寧に淹れて頂きました

③ワークショップⅡ

先ほどのチームを解体して、移住検討中の方も移住済みの方も「居」「職」「住」という自分の気になるテーマのテーブルに移動。そのテーブルで、自分の関心のテーマについて語り合うような場に。移住検討中の方の理想や、移住済みの方の現実的な声が飛び交います。

さらには、移住計画メンバーも交えて、どうしたらより良い暮らしにつながるのか? を一緒に考えたり、アイデアを膨らますような時間になっていました。

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ー 自分の気になるテーマで移住について考える

④親睦会

最後は、移住茶論名物(?)の体に優しくて美味しい手作りの料理を、囲みながらの親睦会。関心ごとのテーマで語らうことで、つながる人もいれば、同じ境遇(出身地が同じとか)の人同士といったつながりが、あちこちで生まれてゆく時間になっていました。

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移住に対する漠然とした不安や希望も、それぞれが言葉にしながら見える化していくと、不安と思っていたものが払拭されたり、希望が実現に向けての一歩に近づいたりしている人を見て、そういった不安や希望を、自分の中だけに留めておかないことが大事なのではないか、という気づきの声。

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または、仕事やコミュニティの話のテーブルで、まずは信頼してもらう為に、自分が相手に何を与える(というと大げさかもしれませんが…)ことができるのか?あるいは貢献することができるのか?という視点に立つと、地域に対して、いい意味でヨソモノが関われることはまだまだ多いのではないか。といった議論も耳にすることができました。

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その他にも具体的な家探しのポイントや、町家に住む(という憧れ)ことと、その現実のギャップにはじまり、京都は地方都市のわりに、家賃がそんなに安くない(という苦情?悲鳴?)だったり、住むエリアによっての気質や雰囲気も少しずつ違うので、自分に合っているエリア選びってどうしたらいいのだろう?という疑問や質問などもありました。

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親睦会の盛り上がりも手伝い、まだまだ参加者同士は話足りないような様子もありましたが、これにて終了です。

そして最後になりましたが、今回の移住茶論で、中村ご夫妻が、「ライフスタイルから考える移住」とおっしゃっていたことが印象的だったので、少し思っていることを付け加えてお伝えしたいと思います。

冒頭にもお伝えしたように、ライフスタイルよりもワークスタイルから考える人の方が多く、仕事が不安だから移住を躊躇しているということをよく耳にします。

「どんな暮らしをしたい?」の前に「どんな仕事があるだろうか?」

という不安な問いがブレーキをかけているように思えます。

しかしながら、この問いの先には、地域には仕事がない(会社の求人という意味で)という現実があり、なかなか受け入れられないでいる人も多いのではないでしょうか。

中村夫妻の場合は、「どんな仕事があるだろうか?」ではなく、「どんな暮らしをしたいか?」の答えを求めて、色んな地域を見て回り、その問いの答えの場所として、山崎という場所に辿り着きました。

中村さんのスライドを引用

ー 中村さんのスライドを引用

それから二人で、「したいことは何か?」という問いを投げかけ、今の仕事をはじめるという決断にいたったそうです。

ワークスタイルではなく、ライフスタイルから考えはじめる移住は、未知数な部分は大きいですが、何より自分で選ぶこと、つくることを大事にしていきたい方は、一度考えてみてもよいかもしれませんね。

移住茶論も今回で19回目。昨日京都に移住してきました!という方から、年内には移住を考えていますという方、いつかはしたいと思って…という方、京都に移り住んでしばらく経つ方など様々な人たちが来られています。引き続き、移り住む先の暮らしを一緒につくる仲間ができたり、その勇気をもらえたりする場になればいいなと思っています。

次回の移住茶論は7月上旬、どんな出会いがあるでしょうか。お楽しみに。

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kyoto iju

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