2015.9.16
26歳以下の若者が集まり、新しい集合住宅のありかたを提案する「Neighbors Next U26 Project」。
HITOTOWAが事務局を務め、三井不動産レジデンシャルやサステナブル・コミュニティ研究会の協力を得ながら実施されている都市における集合住宅の未来を探っていく活動です。
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2014年からスタートしたこの活動は、現在、一期目を開催中。「学生・社会人を問わず26歳以下であること」を条件に集まったメンバーが、「つながりのある住まいをつくり、未来の都市課題を解決する」ことを目標に活動しています。
参加メンバーはソフト面を考える「くらし課」、ハード面を考える「たてもの課」の2つに分かれ、各2チーム合計4チームに分かれ、マンション共有部をうまく活用するためのアイデアを練っています。2015年9月5日に開催された中間発表会では、前回開催されたアイデアソンからブラッシュアップしたアイデアが発表されました。
まず、アイデアのプレゼンテーションに移る前に、緊張をほぐすためにアイスブレイクを兼ねたワークショップ。紙をうまく使って、どれだけ高いタワーを作ることができるかに各グループが挑戦。
どのグループも、前期を終えて関係が近くなっているようで、ワイワイと楽しそうにワークに取り組んでいました。緊張もほぐれたところで、順番にプレゼンテーションに。
最初にプレゼンした「くらし課①」のグループは、健康づくりや介護問題の解決を目指すアイデアを発表。
この先、認知症患者は増加していくことが予測される一方、介護職員は不足している現状などに着目。
地域包括ケアの視点や佐渡の地域医療連携ネットワーク「さどひまわりネット」の事例などを紹介しつつ、マンションの共有部に地域とも接続する医療拠点を設けてはどうか、という発表をしていました。
「くらし課②」が発表していたアイデアは、2025年における環境の変化を予測し、変化したライフスタイルにフィットする共有部の使い方を考えたもの。働き方の変化、テクノロジーの発展、少子高齢化による独居老人の増加といった変化。
「家族のような関係」をマンション共有部をうまく活用することで、育んでいくことができるのではないか、それが彼らの考えた未来のマンション共有部のあり方です。シェアハウスの増加や集合住宅に起きている変化を考えれば、家族というものの捉え方が変化する未来も十分に考えられます。
「第3のLDK」を提案していた同グループの発表では、誰と住むかを重視し、住人が主体となって場を管理するような空間をどう実現していくかといったことが発表されていました。
「社会問題は日常の悩みの組み合わせ」という考えを発表した「たてもの課①」は、1on1の関係を重視し、ギブアンドテイクの関係性を生み出すというアプローチを発表。
アプローチを実現するために、「キッチン」と「ペット」を媒介として用いるというアイデアを発表していました。
ペットもキッチンも、人が交流をしやすい場所。集合住宅となるとメンテナンスが大変そうですが、実現できたとしたら、楽しいマンションになりそうです。
最後に、「たてもの課②」のチームが発表したのは、10年後の働き方を予測し、その働き方に合わせた機能をマンションに付けようというもの。価値観の変化やテクノロジーの進化、サービスの登場により、働き方は少しずつ変化しており、その流れは今後さらに加速していくことが考えられます。
リモートワークや自宅作業等も選択可能になっていくとすると、仕事が生活に近づいていきます。すでに「The C」や「メゾン青樹 ロイヤルアネックス」などの集合住宅には、ワークスペースが備わっており、こうした傾向が出てきています。
仕事と生活の距離が縮まっていく中、空間がどのようにサポートしていけるかというのは大事な視点ですね。
4グループのプレゼンテーションが終了し、4名のオブザーバーからのアイデア表彰が行われました。建築家の仲建築さんと猪熊純さんのお二人は、たてもの2課のアイデアを表彰。三井不動産レジデンシャルからのMFRG賞は、くらし2課が受賞しました。
表彰後、それぞれのオブザーバーやキュレーターから各グループにフィードバックが共有されました。オブザーバーからはアイデアの実現可能性や事業としての継続性に関する厳しい意見と一緒に、着眼点をたたえるフィードバックが送られていました。
各グループのアドバイザーを務めているキュレーターの面々からは、各グループが見せる成長ぶりへのコメントが目立ち、この「Neighbors Next U26 Project」を通じて、若者が成長している様子が伺えました。
まだこの活動は折り返し地点。後期はこの日のアイデアを実現するためのワークを進行していく予定だそうです。
この日、発表されていたアイデアの種が、今後どのような形に昇華されていき、参加している若者がどのような成長を遂げていくのか。これからが楽しみな活動です。
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