マチノコト

2015.10.13

「横浜都市デザインビジョン」をもとに、次世代に向けた見立てをするために必要なこと

写真:Xiquinho Silva by Flickr

写真:Xiquinho Silva by Flickr

神奈川県の中心都市であり、東京と隣接しながらも独自の文化を築いている横浜市。

東京都心から30キロほどしか離れていないこの都市は、市政の中心は港に近い関内地区、経済活動の中心は横浜駅周辺の地域、副都心として主要な生活の拠点として鶴見や港北、二俣川、戸塚などの地域があります。JR東海道線や横浜線、京急本線、相鉄本線といった鉄道の中心駅、東急東横線や横須賀線、京浜東北線などさまざまな鉄道網をもった交通の発達した都市といえます。そのため東京に通勤や通学する人も多く、多摩田園都市をはじめとした市内の北西部は東京の郊外のベッドタウンとして開発された地域もたくさんあります。

横浜という日本でも東京に次ぐ都市としての様子、ローカルな場所として長らくそこに親しみを覚えている人、都市の発達や交通網の発達、ベッドタウン開発を通じて移り住んできた人、経済活動の拠点として移り住んできた人、港など貿易や海外の窓口のなかで多国籍な人たちが行き交う場所など、横浜市と一言で言ってもその地域によって多様な顔を見せています。

多種多様な市民に対して、横浜の発達に貢献した横浜市役所は半世紀以上前から都市デザインに対して強い関心とリソースを注ぎながら、誰もが暮らしやすくする環境を構築してきました。1971年に横浜市役所の庁内に都市デザインチームを発足させ、「魅力と個性のある人間的な都市の実現」を理念としながら、地域によるシンボルツリーの保全など市民協働のまちづくりから、ベイブリッジやプロムナード、親水広場の創出、歴史的建造物の保全など多くの成果をあげてきました。

象の鼻テラスや横浜美術館、横浜トリエンナーレなどのアート関係のプロジェクトの推進、1929年に建設された「旧第一銀行横浜支店(一部復元) 」に「クリエイティブ・シティ構想(創造都市構想)」の拠点施設として「YCC ヨコハマ創造都市センター」をオープン。デザインやアートなどのクリエイティブ分野やビジネス、地域などを結びつけながら横浜の産業振興や地域活性を取り組む場づくりなども行っています。他にも、ソーシャルビジネス関連のインキュベーション施設や2014年にはファブラボ世界会議FAB10の開催、それとあわせてFabCity横浜としての可能性を模索するためにスペイン・バルセロナの先行研究をもとにデジタルファブリケーション技術の発展を通じた取り組みなども行ってきています。

誰もが都市を自分ごと化し、関わりをもつための「都市デザインビジョン」

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グローバルとつながりながらの取り組みや新しいトレンドをもとにした最先端な実践を行っている横浜ですが、現在のテクノロジーの進化や価値観の多様性のなか、そのすべてを行政が把握して都市デザインを通じて旗振りをしていくのではなく、より市民個人個人が横浜という都市へのシビックプライドを持ち、積極的に市民が地域活動を行いながら、誰もが都市デザインに関わる「都市デザインの日常化」を目指すため、具体的な将来像を提示するのではなく、思想を提示した「横浜都市デザインビジョン」をこの春に策定しました。

横浜都市デザインビジョンは、横浜に暮らす市民がマチに対して目を向けるための着眼点や横浜市として大切にしたい5つの価値、これまで横浜市が行ってきた取組事例などを検証・再整理するなど、横浜の都市デザインに必要な要素を抽出し、理解できるように冊子としてまとめあげたものです。冊子内には市民が横浜というマチでのさまざまな暮らしの風景を想い描くために、マチの風景を自由にスケッチするページも設けるなど、横浜都市デザインビジョンの冊子をもとにワークショップなどを行いながら市民への理解や参加を促す仕掛けも盛り込まれています。

冊子は、もちろん横浜市役所に行きもらうこともできますが、それだけではなかなか欲しい人に届けられないということから、部数や受け取り先などを必要とする人の要求に必要な分だけ届け、継続的に政策を普及する仕組みとして、横浜都市デザインビジョンを含めた横浜都市整備局が発行する発行物すべてをデータでダウンロードできたり、1冊から冊子の製本印刷や配送が注文できるオンデマンドサービスも開始(データとしてダウンロードするのは無料、冊子としてオンデマンド印刷するには有料)しました。こうした取り組みを通じて、できるだけ幅広い人たちに気軽に冊子を手に取りながら、横浜市の未来を市民自らが考えられる環境を作ろうとしています。

次世代の横浜に向けた新たな見立てをするために

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そうした横浜の未来を考えるツールとして作られた「横浜都市デザインビジョン」。そのビジョンの考えにもとづき、より多くの人が横浜という都市の未来を考え、同時に、多様な価値観や世代を内包とした横浜という都市がこれから向かうべき方向性や課題、行政や一部の企業だけでなく、300万人が住む横浜市民が横浜という都市が抱える課題に対して自分ごと化し、自身の暮らしや働き方、地域との関わり方などについて理解を深め、次へのアクションへと促すためのイベント「OPEN MEETING! 都市デザイン」を11月7日に開催することとなりました。

テーマは【次世代による横浜の見立て・使い直し】。これからの横浜らしい風景のつくり方を考えるために、今一度横浜に住む人、通う人、働く人、さらに横浜という都市を外から見ている人たちなど多様な人たちで、横浜という都市の過去、現在を踏まえながら未来に向かってどう捉え直すか、そして市民自体が横浜をどう使いこなすことができるかというアプローチで課題や可能性をあぶりだす対話の場とします。

マチノコトは、横浜都市都市整備局都市デザイン室とコラボ。今回の企画の立案や当日のモデレート、当日の対話に向けて「横浜」を議論するためのトピックを収集する事前アンケート作成を行いました。イベントに参加する人、参加はできなくても横浜市について意見やもっとこうしたいと考えている人のアイデアを当日まで募集しています。

ゲストには、横浜寿町を拠点とした地域活性化プロジェクトを行うコトラボ代表の岡部友彦さん、スローレーベルディレクターでヨコハマ・パラトリエンナーレ2014総合ディレクターの栗栖良依さん、建築家であり横浜市の都市デザイン室都市デザイナーの桂有生さんが登壇。さらに、当日の議論は、東海大学富田誠研究室協力のもと、リアルタイムドキュメンテーションを行いながら、リアルタイムに議論を図式で記録・可視化していきながら、議論の状況を整理・認識する取り組みも行われます。

イベントでは、横浜にさまざまな形で関わるプレイヤーたちによるアイデアをもとに議論するだけでなく、イベント参加者も積極的に交えた議論の場を形成します。

同イベントは、横浜・関内地域で行われる「関内外OPEN!7」内の企画として開催されます。「OPEN MEETING! 都市デザイン」以外にも関内地域でさまざまなイベントやワークショップなどが開催されています。横浜にお住まいの方、横浜の未来について考えたい方は、ぜひご参加ください。

OPEN MEETING! 都市デザイン」:イベント概要

日時:11月7日(土)16時〜19時(開場受付:15時30分〜)
会場:ヨコハマNEWSハーパー「APPLAUSE
神奈川県横浜市中区太田町2-23 横浜メディアビジネスセンター1F
参加費:無料
*イベント中の入退場自由・飲食持ち込み可(事前アンケートにお答えください)
主催:横浜市都市整備局都市デザイン局
協力:NPO法人マチノコト(マチノコト)、関内外OPEN!7

イベント詳細はこちらから

ゲスト

岡部友彦さん(おかべ・ともひこ)
1977年生まれ。コトラボ合同会社代表。2004年から横浜寿町を拠点に地域活性化プロジェクトを行う。代表的な試みとして、簡易宿泊所を旅行者向け安宿に変貌させたYOKOHAMA HOSTEL VILLAGEなど。

栗栖良依さん(くりす・よしえ)
スローレーベルディレクター。美術・演劇・イベント・製造と渡り歩いた後、現在は、スローレーベルのディレクターとしてプロジェクト全般の企画開発と推進を担っている。ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014総合ディレクター。

桂有生さん(かつら・ゆうき)
横浜市都市デザイン室都市デザイナー。安藤忠雄建築研究所、山本理顕設計工場を経て、公募による専門職として横浜市都市デザイン室へ。主なプロジェクトに、象の鼻パーク、横浜市新市庁舎(「デザインコンセプトブック」作成)など。

モデレーター:江口晋太朗(えぐち・しんたろう)NPO法人スタンバイ理事、マチノコト共同編集

編集部マチノコト

マチノコト編集部

コミュニティデザインやまちづくりをテーマにしたメディアプロジェクト『マチノコト』編集部のアカウントです。

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