2016.6.17
「秋田といえば…」でなにを思い浮かべるでしょうか。なまはげ、あきたこまち、竿燈、きりたんぽ、秋田犬、など都会に暮らす人にとっては、日常で見聞きし触れられる秋田は少ないかもしれません。
たとえ観光などで現地に足を運べたとしても、やはり一時的な滞在だけではその土地の暮らしをイメージはしずらいもの。どの地域でもそうですが、観光と暮らしのギャップは大きく、移住の受入側としても、移住者側としても、移住前にこの差を限りなく埋めていきたいと考えるはずです。
では、“地方移住”の声が多くあげられるなか、暮らしの選択肢としての秋田とはどうなのでしょうか。
秋田県は、人口は約101万人(平成28年4月1日)。ちなみに、人口最多の東京都は約1354万人、国内最少の鳥取県の人口は約57万人です。ここで特筆すべきは、人口数よりも“人口減少率”です。
平成18年の人口は、約113万人だった秋田県。人口減少率は1%を超え全国トップ。“国内最速で人口減少が進んでいる県”ともいえます。総面積は11636 ㎢で全国6番目であり、人口密度の低さで言えば全国3番目。
立地でいえば、東北地方に位置しながらも、白神山地などをはじめ東南北を山に囲まれているため、アクセスも決して良いとはいえません。しかし、西には日本海が広がり、山川海の自然環境がすべて揃い、至るところに田園風景が広がります。
気候としては、年間平均気温は11.9℃、最高気温29.3℃、最低気温−3.4℃。降水量・降水日数も全国的に高め。冬の期間は長く、降雪時には積雪100cmを超えることはしばしば。しかし、そんな寒冷地だからこそできる農業や、厳しい冬を越すなかでの手間暇かけた伝統的な手しごとがあります。
そんな秋田県では、秋田移住を「Aターン」と呼称しています。
出身者であってもなくても、「みんな、秋田へ」という意味を込めて“ALL”と“AKITA”をかけ合わせてつくられた言葉。秋田への移住検討者は、秋田県移住・定住総合ポータルサイトでAターン登録をすることで、交通費補助などのサポートを受けることができます。
全国的にも移住の情報発信が意識されているなか、秋田では「“秋田暮らし”はじめの一歩」で、秋田の「住む」「働く」「知る」そして、移住者インタビューの「声」として、情報発信を行っています。
移住先に「どんな住まいや仕事があるのか」は気になりますよね。
ただそれだけでなく「どんな地域資源があるのか」「どんな経歴を持った人が、今そこでどんな暮らしをしてるのか」という情報も重要になってきます。
地域行事やイベントなどをはじめ、一緒になにかをやることが多くなったとき、その先輩移住者の存在は心強いでしょう。
そうした人たちと直接会って言葉を交わせる場をつくることも大切です。過去にマチノコトでも紹介した「京都移住計画」の「居・職・住」の考え方にも通じることかもしれません。
最近では、五城目町を拠点に活動する「シェアビレッジ」、五城目町と横手市が取り組むローカルの起用支援「ドチャベン」など、まちなかの動きが注目されていますが、秋田県には25の市町村があり、各地域でさまざまな動きがあります。
例えば、湯沢市には、地元出身の高橋泰さんがUターンし引き継いだ「ヤマモ味噌醤油醸造元」があります。地域に根ざした伝統・文化を守りつつも、現代に合わせたデザインや企画に挑み、海外への情報発信までを行っています。
こうした、いまだ可視化されていなくとも、現地ではさまざまな出来事が日々起き、その仕掛け人がいるわけです。今回、筆者は秋田北部に位置する北秋田市と鹿角市に足を運び、現地でさまざまな人たちと出会いました。
“移住”や“まちとの関わり”という視点で、各地の「こと」と「ひと」を連載でご紹介していきます。
更新をしばしお待ちくださいませ!
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