マチノコト

2016.3.17

古民家をリノベして隼地域に集まるライダーたちが滞在できるゲストハウスをーー鳥取のまちづくり会社トリクミの新たなチャレンジ

人口が最も少ない都道府県と言われる鳥取県。そんな人口の少ない鳥取県の中でも、人口が1000人に満たない小さな地域で、小学校・中学校の同級生たちが「何か地元のためにできることはないだろうか」と始めた活動が注目を集めています。

同級生たちが始めた活動の名は、「トリクミ」。「田舎をエンターテイメントに」というメッセージと共に、2014年ごろから活動を開始したトリクミは、まず町にコミュニティスペース&飲食店を立ち上げました。

地域のシニアたちから「この地域を元気にするために何かできませんか?」と声をかけられたことから始まり、クラウドファンディングを通じてお金を集め、コミュニティスペース兼、地産地消の飲食店である「ちいきの台所 HOME8823」をオープン。

「ちいきの台所 HOME8823」を運営してきたトリクミが、最近新たなチャレンジをスタートしました。

ライダーが集まるゲストハウスを作る

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彼らが次にチャレンジするのはゲストハウスづくり。バイクのライダーと地域を繋ぐ宿『BASE8823』をつくろうと、2016年3月10日からクラウドファンディングをスタート。目標金額を150万円に設定し、お金を集めています。

彼らが活動の拠点としている地域には、隼駅という名称の駅があり、ここはスズキの大型バイク「ハヤブサ」乗りの聖地として全国各地からライダーが集まるようになっています。「隼駅まつり」というイベントには、なんと1200人もの隼ライダーが集まるんだとか。

きっかけは、2008年8月に発売されたバイク専門誌『月刊ミスターバイク』。同誌の中で、「8月8日はハヤブサの日」と銘打ち、スズキの大型バイク「スズキ・GSX1300Rハヤブサ」オーナーに「隼駅に集まろう」と呼びかけて以来、この地域はハヤブサ乗りの聖地として隼駅にはライダーが集まるようになっているそうです。

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近所の住民もこの動きに合わせて、荒れていた駅前を整備。集まる旅人をもてなすようになったそうです。スズキ本社の許可を正式に受けて、駅にはハヤブサのポスターも掲示。2009年3月には「隼駅を守る会」という団体も設立されたんだとか。何がきっかけになるかわかりませんね。

空き家をリノベーションしてゲストハウスに

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今回のゲストハウスは、隼駅徒歩5分の位置にある空き家をリノベーションして作られます。ライダーコミュニティの創出と地域の空き家問題の解決を担うプロジェクトとして、八頭町に貢献をしていきます。

そんなライダーたちの聖地である地域にライダー向けのゲストハウスを作ろうというのが、今回のトリクミのチャレンジ。トリクミからの依頼を受けて、『BASE8823』の設計を担当するのはマチノコトでも紹介してことがある設計集団「ツバメアーキテクツ」。施工は地元鳥取で活躍するコモン建築事務所の高藤 宏夫さん。

施設の中には、コンテナを改造したバイク専用ガレージを併設し、ライダーの大切な愛車を雨風からしのぎ、ライダーさん同士でメンテナンス、洗車等ができるスペースを設置予定。地域に来てくれた人や地域の方々が集い、お酒が飲めるバーラウンジも設置。宿としての機能も充実させ、しっかりと旅の疲れを癒せる、隼地域独自のおもてなしを提供する場所となりそうです。

設計を担当しているツバメアーキテクツの山道拓人さんは、『BASE8823』の設計についてこう語ります。

山道さん「人が集まる縁側とバイクが止まるガレージを、庭を挟んで90度で向かい合わせにすることで、バイカーもそうでない人も交わるような空間を目指しています。

建物自体も、余計な装飾を施すのではなく、床を切り下げ人々が集う土間にしたり、天井を上げて祝祭性を演出したり、風景に対して縁を拡張したり、素材の持ち味を最大化する設計にしています。様々な活動を受け入れる骨太な宿を目指しております。」

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外から人を呼びこむためのスペースを

これまでも地域でコミュニティスペースを運営してきたトリクミ代表の古田琢也さんにとって、今回の挑戦はどういったものなのでしょうか。

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ーーーどうして「ゲストハウス」を作ろうと?

古田さん「ライダーが多く訪れる町になっていますが、このエリアには宿がないんです。せっかく来ていただいているのに、ほとんどおもてなしができていませんでした。そのため、現在は地域にお金は落ちず、来てくれている人も通りすぎるだけのエリアになってしまっている。その状況に対して、「このままでいいのか?」という気持ちが強くありました。

せっかく訪れてくれているのですから、もっとまちに留まってもらって、地域の方々と交流したり、もっとこのまちを好きになってもらいたい。そのために、情報が集まり発信していける拠点をつくりたいと思ったんです」

ーーートリクミはこれまでもコミュニティスペースを運営してきていますが、それだけでは足りなかった?

古田さん「これまで運営してきている「ちいきの台所 HOME8823」がきかっけとなって、新たにお店を始める人が増えたり、若者主催のイベントなども活発になりました。少しずつ、町が変わってくる兆しが見えてきたように感じています。

地域の方々も、当初より挨拶をしてくれることが増え、活動を応援してくれる地域に広まってきています。一方で、2年間スペースを運営してきて、課題も感じていました。点じゃなく面で町をつくっていかないと広がりが生まれないんです。

面にしていくためには、これまで自分たちが運営してきたお店だけでは限界がありました。もっとエリアに人が訪れ、滞在するための新しい仕掛けが必要だったんです。」

ーーーなるほど。それが今回のゲストハウスだったんですね。

古田さん「ゲストハウスのように、外から人が訪れてくれて、外貨を地域にもたらしてくれる場所は重要です。内部で経済を回すだけではなく、外貨を得て、まちや人へと投資してかなければなりません。」

ーーー新たに地域に生み出す『BASE8823』では、地域の人にとってどのような場所にしたいですか?

古田さん「外から訪れるライダーと、地域の方々が交わることでもっともっと笑顔を生み出していきたいですね。「こんな田舎でも商売ができるんだ!」と若い人がチャレンジする土壌をつくりたいと思っています。何かをやってみよう、新しいお店をこのエリアで出してみよう、そんな挑戦をする人を増やしていきたいと思っています。」

ーーーありがとうございました!

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『BASE8823』のためのクラウドファンディングは、スタートから1週間弱で目標金額の約50%の金額を集めています。バイク好きな方、こうした地域の活動を応援したい方は、ぜひクラウドファンディングの詳細をチェックしてみてください

junyamori

inquire Inc. CEO、NPO法人マチノコト理事。1987年2月生まれ、岐阜県美濃加茂市出身。『マチノコト』の編集を担当する他、一般社団法人HEAD研究会フロンティアTF副委員長、ローカルメディアネットワーク『IDENTITY』を運営中。『THE BRIDGE』『マチノコト』『soar』など複数のメディア運営にも携わる。

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