マチノコト

2015.6.9

地域ぐるみでの子育てを目指してーー調布市の行政とNPOが協働して人とまちをつなぐ情報サイト「コサイト」とカフェ「aona」をオープン

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

子育ては親だけでするものではなく、地域ぐるみ、まちぐるみでするもの。

そんな声が多く聞こえる今ですが、なかなか子育て世代やまちの人々が支え合える仕組みができていないのが現状です。

子育ての悩みを専門家に相談したい、同じくらいの歳の子供がいる親同士で友達になりたい。
子供連れで行けるお店や、参加できる地域のイベントを知りたい。

中には、一人で子育てをしている親や、様々な理由で金銭的な面で子育てに苦労をしている人もいます。

まちで子育てをする人たちは、地域の情報を求めています。また、日々の子育てには様々な悩みがつきものです。

そんな子育て中の人たちが、自分の住む地域の子育て支援情報にアクセスしやすくなったり、気軽に相談しに行けるような場所があれば、きっと安心して子育てができるようになるはず。

この春、調布市で子育て中の人とまちをつなぐ情報サイトとカフェがオープンしました。

たくさんの子育て世代が住む調布市

Nogawa_Chofu_Tokyo_M3345
東京都の西側にある、約22万人が住む調布市。
都心からアクセスしやすく都内に通勤する人々の「ベッドタウン」としてにもなっており、たくさんの子育て世代が暮らしているまちです。

調布市には、市民が安心して子育てをしていくための「調布市子ども条例」が制定されています。そして、その理念である「子どもが健やかに育ち、安心して子どもを産み、育てることができるまち」をつくるために、地域での子育て活動を支える「調布市子ども基金」があります。

この調布市子ども基金の助成を受けて2015年春につくられたのが、調布子育て応援サイト「コサイト」と調布子育てカフェ「aona」です。

「ここで育てたい」と思えるまちをつくる

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット


このサイトとカフェの管理運営を行うのは、調布に拠点をかまえるNPO法人ちょうふ子育てネットワーク、略して「ちょこネット」です。

『「ここで育てたい」と思えるまちづくり』を目指し、地域で子育て支援をしている個人や団体と子育て当事者をつなぐちょこネットを運営しているのは、今まさに調布で子育て中であるお母さんたち。

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

代表をつとめる竹中さんは、ご自身が調布で子育てをしていくなかで、地域の人たちにとても助けられたそうです。

「調布は今次々とマンションが建設され、転入してくる子育て中の方たちがたくさんいます。地縁もなく、日中は母子二人きりという状況で孤立している家庭も少なくありません。実は私もその一人でした。少しずつご近所との付き合いを広げ、ずいぶん助けてもらいましたけれど…。子育て中の人たちが地域とつながってほしいという思いから、ちょこネットの活動が始まりました」

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

2011年に任意団体として活動を開始し、2013年にはNPO法人になった始まったちょこネットは、これまで子ども連れのお母さんも気兼ねなく立ち寄れるコミュニティカフェ「ちょこカフェ」や、子育てに関する情報発信、子育てについて学び合うイベントなどを開催。調布で子育てをしている人、子どもたち、それを支援するひとたちをつなぎながら、安心して子育てのできる地域づくりをしてきました。

行政と民間の子育て支援情報が集まる「コサイト」

ちょこネットが管理運営を担い、2015年4月にオープンしたのが、調布での子育てライフを応援する子育て情報ポータルサイト「コサイト」です。

同じ子育て支援情報でも、行政からの情報とNPOや市民団体をはじめとした民間による支援情報は分断されていることが多いため、利用者にとってはなかなか情報をキャッチしにくい状況。まちに点在している子育てに関する情報が一つにまとまっていれば、利用者はストレスなく情報にたどり着くことができます。

「コサイト」では、調布市内にある子育て関連施設や子連れで出かけたいお店や公園、地域で行われるイベントなどの情報が掲載されています。そして、子どもを産む前の妊娠期や出産後の手続きや支援、ひとり親家庭や外国人への助成など、様々な行政サポートに関しても知ることができます。

そのほか、子育てのヒントになるようなコラムや子育て支援に奮闘している人々の紹介などにも力を入れているそうで、子育て中の人にとって嬉しい情報が満載です。

また、そもそもどんな支援があるのか全く知らないひとたちのために、子育てのライフステージや子どもの年齢別、その時の状況別に検索できるのも便利。

サイトのグラフィックデザインは、子育て中の人が見てほっと安心できるようなシンプルなものデザインで、スマートフォンにも対応しているそうです。

子育てカフェ「aona」

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

サイトのオープンに続いて、調布駅前の子育て支援施設「こどもとフラット」内には、同じくちょこネットが運営する子育てカフェ「aona」がグランドオープンしました。

ちょこネットが2年9カ月ほど運営してきた「ちょこカフェ」での経験を生かし、子育て中の人たちが気軽に立ち寄れる店づくりに努めています。

そして子育ての悩みを独りで抱えこんでしまっている親たちと、地域の人たちが交流する場とし、ここから様々な子育て支援活動が生まれることを目指しているそう。

カフェの内装には天然木の床、調布周辺で伐採された木を使って作られた家具が使われていて、とてもあたたかな雰囲気です。

メニューには調布産のものを中心とした野菜や乾物類をたっぷり使った定食や、天然酵母のパン、子どもサイズの定食など、ひと手間かけた料理を提供。子どもの食べ物には気をつけている保護者にとっても安心で嬉しいものばかりです。

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

また、高校生からリタイアしたシニアの方など、幅広い世代のスタッフが数多く関わっているのも「aona」の特徴。スタッフそれぞれの得意を生かす「出番づくり」にも一役買っています。

オープンしてまだ1ヶ月ほどですが、「aona」には子どもを連れたお母さんたちが連日たくさん訪れています。今後は子育て中の人だけでなく、仕事帰りのサラリーマンやシニアの人たちなど、様々な世代が集まり交流するカフェにしていきたいそうです。

行政と民間が連携した子育て支援

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

photo by NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット


この子育て支援情報ポータルサイトと子育てカフェは、まちをよく知っている、そして調布で子育て中のお母さんが集まるNPOだからこそ運営する意味があるように思います。

こうした行政と民間の連携によるまちづくりは、行政の情報をきちんと市民に届けると同時に、市民の小さな声を拾って活かすことができる素晴らしい仕組みではないでしょうか。

竹中さんは、こう語ります。

「子育て支援と言うと何か特別なことをやっているイメージですが、カフェでお茶を飲みながら隣の席のママや子どもとちょっとだけ触れ合っていただければ十分だと思っています。それもまた子育て支援。特に意識することなく、ちょっとした交流によって自然と子育てをしている人たちに関わってしまう、そんな場をカフェやサイトで作っていけたらいいなと思っています」

子育てをする人たちが、地域に支えられて子育てができるようになれば、きっと子どもたちにとっても幸せな未来が待っているはず。

生き生きと子育てができて、伸び伸び子どもが育つまち。とても素敵ですね。

コサイトと「aona」が、これから調布の人たちに愛され必要とされる場所になっていくのがとても楽しみです。

café aona
営業時間:10:00~20:00(定休日 毎月9日と24日)
住所:〒182-0024 東京都調布市布田4-17-10 セントラルレジデンス調布2階 こどもとフラット内
電話番号:050-3745-8864
Webサイト:https://www.facebook.com/aona.chokocafe

mizuhokudo

工藤瑞穂。 「soar」プロジェクト代表・編集長、「HaTiDORi」代表、ダンサー、元日本赤十字社職員。1984年青森県生まれ。宮城教育大学卒、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム修了。NPO法人ミラツク研究員、Webメディア「マチノコト」ライター。

コメント

関連する記事

コミュニティに参加する

ページトップ