2015.8.4
生産者である「作る人」と消費者である「食べる人」が、直接出逢い、言葉を交わし、販売する「マルシェ」が、日本各地で人気を集めています。
まちの青空のなかで、笑顔が花開き、人と人が行き交うような、温かさのある「マルシェ」は、現地の農家や飲食業を営む人々、手仕事を営む人々が、それぞれ個性ある店を構え、1つの集団となって、魅力的な空間を個性しています。
最近では、地域住民と観光客の交流を生み出す街づくりの仕掛けとしても注目されています。長野県松本市にある水辺の商店街「なわて通り」では、そんな「マルシェ」が定期的に、行われているようです。
松本市は、400年以上の歴史をもつ城下町であり、古くから交易・交流で賑わう交通の要衝として、発展してきました。
大自然の豊かな土地としても知られ、3000m級の峰々が連なる日本アルプスを擁し、多くのアウトドアファンが集う土地でもあります。
圏内には上高地や安曇野など 全国的に有名な観光地があり、さまざまな側面を持った都市です。
松本城の南惣堀と女鳥羽川の清流に挟まれ、「縄のように長い土手」から名前が由来したと言われるのが「縄手通り商店街」です。
江戸期の城下町・松本の風景を再現したこの通りは、懐かしさの香りが漂い、観光客を楽しませる散策コースとして人気を集めています。
古美術店やそば屋などの昔ながらの店と、オープンカフェやレストランといった新しい店が混在する、歩いて楽しい街。
その人気の理由には、「なわて」の地域の特色を生かしたプロジェクトの存在がありました。
「松本唯一の水辺の商店街である」というなわて通りの特色を街づくりに生かそうと2011年頃に動き出したのが、「松本なわて通り水辺プロジェクト」です。
賑やかで、洒落ていて心地良い。だけども、ときに寡黙で、哀しく心に寄り添いを見せる資源「水辺」の潜在力を再発見すべく、この取り組みは始まりました。
水辺をどのように使うか考え、「時間の使い方を見直すこと」、「場所の使い方を定義すること」、「使い方を彩る道具を開発すること」の3つの使い方にポイントを絞り、これまで水辺のマルシェやナイトバザールなど、さまざまなイベントが行われています。
数ある取り組みのなかで、現在も継続して行われ、人気を集めているのが「水辺のマルシェ」です。
「なわていなたいむ」とは、松本地方の方言で、丁寧に作られているものなどを指す「まていな」という言葉と、「なわて通り」の「なわて」を合わせた造語。日曜の朝をまったりと過ごすとともに、丁寧に作られた水辺のマルシェのメニューを楽しんでほしいという願いも込められているんだそう。
新鮮な、こだわりの野菜・果実を提供するだけでなく、それを食べる環境(食卓)にも心配りが見られるのが、「水辺のマルシェ」の特徴。
料理をして作ったおかずを盛る器や器を置くマットにもこだわり、食事をするのが少しでも楽しくなるような環境を整えることができます。
なわて通りのお店では、『水辺のマルシェ限定モーニング』が500円ワンコインで提供されます。ピクニックのように好きな場所で、モーニングをテイクアウトして、好きなスタイルで素敵な朝を過ごすことができるんです。
絵本の読み聞かせや路上パフォーマンスなど、水辺を盛り上げるさまざまなアクティビティも行われているんだそう。思い思いの、自分好みの過ごし方を見つけることができますね。
水辺でマルシェが定期的に行われることで、「あそこに行けばなにかあるかもしれない」という期待が生まれ、なわて通りや松本で暮らす人々の生活をワクワクさせていくように感じます。
マルシェを通じた生産者や現地で手仕事を行う人々との交わりは、これまでにはなかった新たな関係性を紡ぎ出します。その関係は、「あの人が作るあの商品を買おう。」という買い物の理由や生活へのこだわりを生むのではないでしょうか。
「物を買う」という行為が、より丁寧になることで、なわて通りで生業を持つ人々との縁が広がり、水辺に足を運ぶ習慣に繋がっていくはずです。
青空のもとで、ゆるやかに人々の縁が重なり合いながら、なわて通りの文化が継承されていきます。
次回の「水辺のマルシェ」が開催されるのは、9月27日(日)。
「松本なわて通り水辺プロジェクト」による、新たな水辺の可能性を提供する「水辺のマルシェ」。興味を持たれた方は、こちらから詳細をチェックして、ぜひ足を運んでみてください!
人と人、魅力と魅力が自然に交流する空間が、青空のもと、きっと広がっているはずです!
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