マチノコト

2014.9.24

MAD Cityは次のステージへ!まちづクリエイティブが地域デベロッパーとして松戸の街で取り組む「アソシエーションデザイン」とは?

JR松戸駅前に、「MAD City」と呼ばれるクリエイターやアーティストなどによる創造的なコミュニティづくりを進め、より魅力あるエリアに変えていくまちづくりプロジェクトの拠点があります。

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その「MAD City」が4周年を迎え、イベント『DIYsによるまちづくり』を開催するということで、参加してきました。当日のことをお伝えする前に、少しMAD Cityを仕掛けているまちづクリエイティブについて紹介したいと思います。

4年前の2010年から「脱東京を創りだす。」コンセプトに活動してきたまちづクリエイティブ。当時、筆者はgreenz.jpという媒体で編集をしていた頃で、活動がスタートしたという情報がすぐに耳に入ってきました。(MAD Cityは現在、greenz.jpのパートナーとして記事を配信しています。)

まちづクリエイティブが最初に始めたのは「脱東京不動産」というウェブサイトの運営。地方に眠る古民家やガレージ、改装自由などの条件が付いた掘り出し物件をクリエイターやアーティストに向けに発信するというもの。

脱東京

DIYというカルチャーも、東京外に出て行くこともまだ今ほど広まっていなかった時期で、このサイトの誕生は印象的でした。まちづクリエイティブは、しばらくして、拠点を千葉県の松戸駅西口に拠点を構えました。

松戸に拠点を構え、「MAD City」をスタートさせたまちづクリエイティブは、アーティストやクリエイティブクラスの地方移転を軸に、新しいまちづくり・地域活性に取り組んできました。4年間で157名の入居者を誘致し、そのうち95名はクリエイティブ層だそうです。

クリエイティブシティを参考に

MAD Cityが参考にしているのは「クリエイティブシティ」という考え方。「クリエイティブシティ」とは,1990年代中盤からチャールズ・ランドリーやリチャード・フロリダによって提唱されてきた都市再生に関する新しい概念。

英国のチャールズ・ランドリーは、芸術文化などに代表される「創造性」が、脱工業化社会において新しい価値を都市にもたらし、活力につながるとし、米国のリチャード・フロリダが提唱する「クリエイティブ・クラス」、文化人だけではなく研究職や商品開発担当者なども含むクリエイティブな職種の人たちに住む場所に選ばれる街という意味でも「クリエイティブシティ」という言葉は使われています。

産業構造の変化や人口減少など現代の都市が抱える複数の問題を克服し、都市の再生を図るためには,芸術や文化といった創造性を育て,クリエイティビティに基づく産業の発展が必要であるという理論をベースにしています。この理論に基づいた産業により発展している都市は、創造都市と呼ばれています。

松戸も、建物が余って人が少しずついなくなっているという課題がありました。ハードが整備された後の「まち」を、どう再生し新しい産業を生み出していくのか。まちづクリエイティブは、アーティストやクリエイターをまちに招き、クリエイティブシティの成長モデルを投入することを試みました。

順調にクリエイティブ層の人がまちに移り住んできており、まちづクリエイティブの活動は次のフェーズへと進みます。

地域デベロッパーとして

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まちづクリエイティブ代表の寺井元一さんは、4周年記念のイベントの中で、新体制について、新しいロゴと活動コンセプトなどについて発表しました。

4年の月日を経て、コンセプトは「脱東京を創りだす。」から「「つづく世界」をつくる。」というものへ。

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地域デベロッパーとして、「つづく世界」をつくること。それが新しいまちづクリエイティブのコンセプト。

地域デベロッパーとは、いうなれば小気味の良いデベロッパーだと寺井さんは語ります。いわゆる都会のデベロッパーのようにビルを建てることや、土地をまとめるといったことではないデベロッパー。それは建物を寿命ギリギリまで使いながら、ソフト面の付加価値を物件に生み出すことで、土地の価値を向上させ、資本力によらない新たな地域の活性化が実現できるのではと考えているそうです。

「つづく世界」をつくる。

「つづく世界」とは、これまでそれぞれの街に根付いてきた文化を継承していくこと。どんな文化もはじまりがあります。

これを受け継いでいくことはもちろんですが、いつでも新しい何かを始めることができないと続かなくなってしまう。その土地の文化を継承しつつも、自分たちで新しい文化を生み出していく。そんな姿勢が、新しいコンセプトには込められています。

地域デベロッパーとして、「シェアリング」「リノベーション」を掛けあわせたようなことを限られた資本と、アイデアで実現していくそうです。その活動サイクルは以下のようなイメージだとか。

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自主性を促し、コミュニティの醸成を

「MAD City」では入居者誘致や「コミュニティの醸成」がうまくいっている状態。次は「入居者の自発性向上」のステップです。入居者の自発的な活動を支援し、クラフトマーケットなどのイベントが開催されています。

「MAD City」不動産の中でも住民主体の活動が盛んなMADマンションでは、まちづ社と入居者同士で検討し屋上でのビアガーデン「SUNDAY BEER GARDEN」を開催したそうです。これは「MAD City」が取り組んでいるという、公共の空間、パブリックコモンスペースをうまく活用した良い事例ですね。

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その他にもMAD Cityでは地域コミュニティと連携して、公園でアートイベントが開催されたり、江戸川河川敷で「MAD City」不動産物件の入居者が結婚式を開催したりと、素敵なイベントが催されてきたそうです。

今回開催されたイベントでは、入居者が実際に暮らしたり活動する、この「MAD City」不動産の物件を見学することもできました。案内してもらったマンションは、DIY可能な物件なので、どの住人の人も自分で自由にDIYしており、部屋によって雰囲気が大きく違っていました。廊下から見える部分も部屋によって特色が出ており、ユニークな雰囲気に。

これまではクリエイターやアーティストなど、自分たちだけでDIYできてしまう人が松戸に来ていましたが、今後まちづクリエイティブでは、DIYの初心者も対象とする新規事業「DIYリノベ事業」を開始するそうです。DIYをサポートしていく事業だそうですが、これが松戸内外で提供されると、より多くの人が個性が反映された素敵な空間を創ることができそうですね。

「アソシエーションデザイン」という考え方

まちづクリエイティブでは新たなコンセプトに加えて、「アソシエーションデザイン」という考え方を発表しました。寺井さんの肩書も、アソシエーションデザインディレクターに変更。

これは、一人ひとりの自発性を大事にし、ボトムアップで街にアプローチしていこうというやり方。「アソシエーション」とは、「連合すること、合同、共同」などを意味します。アソシエーションの創出を原動力とする手法、それがアソシエーションデザインだそうです。

アソシエーションデザインは、地域に眠る歴史や伝統・文化といった文脈を踏まえつつ、地域コミュニティとはまた別にエリアの新たな人間関係を創りだし、住民の自発的な活動を促進するアプローチ。「つづく世界」を作るというまちづクリエイティブのコンセプトを反映したアプローチなのではないでしょうか。

地域デベロッパーとして、アソシエーションデザインに取り組み始めているまちづクリエイティブ。これから先、松戸がどのような街になっていくのか、非常に楽しみです。

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マチノコトオープンゼミでテーマとして扱った「タウンマネジメント」、「アートプロジェクト」にも通じる部分があると感じられ、非常に興味を惹かれたイベントでした。

junyamori

inquire Inc. CEO、NPO法人マチノコト理事。1987年2月生まれ、岐阜県美濃加茂市出身。『マチノコト』の編集を担当する他、一般社団法人HEAD研究会フロンティアTF副委員長、ローカルメディアネットワーク『IDENTITY』を運営中。『THE BRIDGE』『マチノコト』『soar』など複数のメディア運営にも携わる。

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