2015.7.29
保護者の方も、治安の問題から子どもたちを外で遊ばせることに不安を抱くようになってしまいました。子どもが安心して安全に居られる居場所が、家庭以外の場所でも求められています。
東京都世田谷区二子玉川では、こうした課題にNPO法人「せたがや水辺デザインネットワーク」が取り組んでいます。同団体は、多摩川をフィールドに環境教育や地域ネットワークづくりを実施しています。
二子玉川は東京都世田谷区に位置し、北に穏やかな丘陵、南に多摩川を抱える比較的緑の多い自然環境の整った地域です。近年は、二子玉川駅の東側を中心に再開発がおこなわれ大型商業施設が開業するなど、新たな賑わいも見せています。
また、「世田谷のオアシス」と呼ばれる多摩川をはじめ、その河川敷、砧公園や等々力渓谷など、都会では貴重な自然が多く残っています。都会のなかを流れる自然と、遊びが生まれる貴重な空間として、NPO法人「せたがや水辺デザインネットワーク」の拠点となっています。
1999年、多摩川の河川敷にプレーパークを作ろうと地域の親たちが発足したのが「砧・多摩川あそび村[きぬたまあそび村]」です。
きぬたまあそび村は、自然豊かな多摩川の冒険遊び場(プレーパーク)。自分の責任で自由にあそぶ」をモットーに、世田谷区自然体験遊び場事業として、「子どもたちにもっと、外遊びをしてほしい。」と願う地域住民によって運営されています。
多摩川の河川敷をフィールドに、子どもたちが自然のなかで、のびのびと創造的に遊べるよう、自然あそびに詳しいプレーリーダーを軸に、おとなの見守りのある体験的あそび場を提供しています。
子どもたちは原っぱで、木に登ったり、花を摘んだりして、自然と関わりをもちながら、遊ぶことができます。
川のアクティビティでは、川の生き物観察や水中探検、カヌー、ストーンペインティングを通して、多摩川の多様な生物と触れ合いながら川の楽しさを知ることができ、川を守る大切さも同時に学んでいきます。
現在、子育てを行っている親世代が子どものころ、多摩川では環境破壊が進み、現在のように、川で遊ぶことは出来なかったといいます。子どもたちだけでなく、親子でアクティビティを行うことで、多摩川の楽しさを遊びながら、自然を守る大切さを学ぶことができるんですね。
2002年、多摩川付近では「せたがや水辺の楽校」という活動がスタートしました。地域の小中学校や地域住民が集まり、国土交通省、文部科学省、環境省などで事業化した「水辺の楽校プロジェクト」に世田谷区域の多摩川をフィールドとした、せたがや水辺の楽校協議会を発足し、2006年に開校しました。
生き物観察会や多摩川の河川清掃、星空観察会に地域住民による絵本の読み聞かせなど、季節に合わせて、さまざまな取り組みが行われているようです。
子どもたちは、多摩川の様々な自然に触れながら、地域の大人たちと、普段の生活のなかでは体験できない遊びの機会を得ることができます。
世田谷区自然体験遊び場事業として地域住民が運営する「きぬたまあそび村」と、河川環境を生かすため行政と市民が協働で進める学校「せたがや水辺の楽校」が、2014年、「きぬたまの家」を開設するのを機に融合。
それぞれがこれまで行ってきた活動を事業部として継続・運営しながら、2015年にNPO法人「せたがや水辺デザインネットワーク」が設立されました。
野外あそびは、子どもの成長に欠かせないものです。そして、「あそこに行けば誰かいる」という集合拠点が地域住民によって運営され、見守りの目があることで安心して子どもたちは、のびのびと遊ぶことができます。
普通の公園ではできないロープや段ボールを用いた自由な遊びや、水辺や草むらで自然と触れ合う時間は、子どもたちの感覚を形作るかけがえのない時間になること間違いありません。
子どもたちの遊び場づくりは、乳幼児とお母さんの居場所づくりにも繋がります。子育ての不安を軽減し、ゆったりと子どもを見守る雰囲気作りをするスタッフや先輩お母さんの存在は、新米お母さんにとってとても力強いもの。
子どもだけでなく、子どもに関わる親、地域住民、二子玉川の全ての人々が、豊かな自然のなかで関係性を紡いでいく。人が集う仕掛けが「NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク」によって作られています。
「きぬたまあそび村」と「せたがや水辺の楽校」は、定期的に多摩川河川敷でイベントを行っています。
「きぬたまあそび村」はこちら、「せたがや水辺の楽校」はこちらからイベントの情報を確認することができます。ぜひチェックしてみてください!
あなたの知らない多摩川の魅力を、遊びながら学べること間違いなし。一度足を運んでみるのはいかがでしょうか。
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