2014.10.4
みなさんは防災の意識をおもちですか。東日本大震災から3年以上がたち、どこかわたしたちも「防災」といったことに対して次第に意識が遠のいているのではないでしょうか。
そうした中、いまでも被災した東北地方の方々は、今回の震災を教訓にさまざまな予防策や地震の記憶を伝えるような取り組みを行っています。都内に住んでいる人も、いつかくるといわれている首都直下地震の準備を行うためにも、防災ということを今一度「自分ごと」にすることが必要ではないでしょうか。
アーティストのGAKU−MCさんは、そうした防災の意識を楽しみながら自分ごとにしてもらうために、防災と音楽ライブを掛けあわせたイベントである「アカリトライブキャンプ」を企画しており、先日の8月22日、23日にも東京都港区赤坂小学校で同イベントが開催されました。
同イベント参加者はキャンドルホルダーに被災地へのメッセージを書き込むことができ、イベント最終地の福島公演で会場の参加者へ届けられます。
同イベントは炊き出し、ライブ第一部、トークショー、ライブ第二部という順序で進行していきます。
最初に行われたのがカレーの炊き出し。この日は赤坂の某有名レストラン監修のもと、赤坂地区委員会の方々、ボランティアスタッフによる手作りのルーに、防災食のアルファ米と一緒にカレーを味わうことができ、参加者からは「おいしい」という声がたくさん聞こえてきました。
同イベントは炊き出しの体験でしたが、実際の震災後ではすぐに食料が提供されるものではありません。炊き出しは、外からの支援が中心となっているため、支援が届くまでの間は自分たちでなんとかしなければいけません。そのため、防災のために自宅には約3日分、マンションにおいては7日分の備蓄をすることが推奨されています。こうしたことを、炊き出しの経験と踏まえて知ることで、より防災の大切さや食料の大事さを実感します。
カレーの炊き出しが終わると、次はライブの第一部。トップバッターはシンガーソングライターの宮武弘さん、初めに歌ってくれた歌は児童向けの歌。次は『大切な人に愛を伝えた』、『デイドリームビリーバー(清志郎さんカバー)』、『武蔵野線』、『夜のパレードwith モリモトヨシキ(モーリー、THANKS!)』などを熱唱していただき、会場を沸かせてくれました。
宮武弘さんのライブが終わると、日本フリースタイルフットボール界のパイオニア『球舞』も参加し、サッカーと音楽を混ぜ、世界唯一の生音を使ったパフォーマンスで会場内を魅了。
第一部のライブが終わると、次は防災についてのパネルディスカッション。この時だけ、MCはGAKU−MCさんに。ステージには、パネラーとして岩手県大槌町町長の碇川豊さんと、野外フェスの魅力を伝える活動をしているキャンプよろず相談所代表取締役の滝沢守生さんの、三者三つ巴で対談。碇川さんは2011年の震災の経験から震災が起きた時の心得を、滝沢さんはキャンプと防災の親和性について紹介。身近に防災を感じるための方法などについて教えてくれました。
パネラーによる防災についてのパネルディスカッションが終わると、今度はただ話を聞くだけではなく参加者たちにも一緒に防災について考えてもらうワークショップです。参加者は、災害時における「他人との配給品の分け方」等についての意見交換やアイデアブレストを行ない、防災をより身近にするための取り組みについて考えました。
こうしたテーマは、なかなか普段は考えることは少ないかもしれませんが、こうしたワークショップを通じて、いつもは気が付かなかったことに気づかせてくれたり、普段の行動でも防災について頭のどこかで意識した行動を取ることができます。こうした経験をしておくことが、いざ、という時の役に立つ何かのヒントになるのではないでしょうか。
次は、ライブ第二部。歌ってくれたのはGAKU−MCさん。『all you need is rap』など、勇気と元気を感じさせる数々の名曲を歌い、会場は熱気に包まれました。
ライブが終わり、夜10時を過ぎると帰宅しなかった参加者は体育館での宿泊体験です。
宿泊する参加者のために、落語家・立川志の彦さんによる怪談話を聞きながら、普段体験しない体育館で一夜を明かしながら、災害時に体育館で宿泊するということがどういうことなのかを体験するいい機会となりました。
2日目、起床後はすぐにみんなでラジオ体操。体が起きて目も覚めたところで、昨日の振り返りなどを行って参加者全員が「防災」の大事さを再認識するイベントとなりました。
最後は参加者とスタッフが一緒に記念撮影。参加者は、ライブやワークショップの楽しさと普段の生活の中の気づきや意識を改めて実感した思い出となりました。
災害の発生する日は予測不能です。震災や防災の話、避難所での生活の模擬体験の積み重ねが、いつかくるかもしれない災害に対して、役に立つのです。
GAKU−MCさんは同イベント後ブログにて以下のようなことを綴ってくれました。
いつかくるかもしれない。その為に準備をしておくのはどうだろう?!
そんな発想から始まったアカリトライブキャンプ。堅苦しくなりがちな(まあ実際に楽しんでやるようなモノでもないかもしれないが、しかし)防災訓練をやってみる。
そしてどうせやるなら楽しみながらやってみる。いつかくるかもしれないその日の為に、訓練を続けるには絶対に”やらされている”というより”楽しいからやっている”の方が持続できると思うから。
今回のイベントにご協力してくださった皆様、本当にありがとう。
アカリトライブチームとして出来ること、自分達なりにおこなったつもりです。初めての試みだったので、バタバタといたらないことが沢山あった気がしてます。
タダ思うことは、いくら完璧に準備していても想定外は起こる。だからこれからは想定外という言葉は使わない。そう話してくれた大槌町長の話が印象的でした。
起こりうるトラブルを最小限にとどめ、それらを乗り越えて、僕らは次へ、その先へ進まなくては行けません。参加者自身がグループをつくって話し合うワークショップ。非常に興味深かった。
自分達自身が考える局面、本当に沢山やってくると思います。その為に準備。経験を積んでその先へ。今回の企画の趣旨をそうとらえてくれたら幸いです。
「アカリトライブ」は堅苦しい防災訓練というものを、ライブパフォーマンスと掛け合わせる事によって、参加しやすくしています。事実、同イベントの参加者は子供たちが非常に多くイベント中は笑顔が絶えませんでした。ライブパフォーマンスも楽しめて、さらに防災意識も高まる同イベントはとっても素敵なイベントです。
こんなにも充実したイベントなのに参加費も無料。みなさんも次回のイベントにはぜひ参加してみてください。
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