2015.8.20
夏がやってくると、不思議と思い浮かびあがるビーチという存在。「夏といえば海」というイメージが多くの方にあるように、それだけ海に足を運ぶ人も増える季節ですよね。
と同時に、人が集まることで増えていくごみ。人がいる場所には、自然とごみが生じます。そして、ゴミを”拾う人”と“捨てる人”は分かれ、そのゴミに対する意識にも大きな差があります。ゴミは、日本のいたる海辺で抱える悩みとも言えるでしょう。
グリーンバードや海さくらをはじめ、ゴミ拾いに関するアクションはそういった課題に向きあっています。
ゴミ拾いに関するアクションの一つとして、今回ご紹介したいのが「逗子ビーチクリーン」です。逗子・葉山では、遊びとエコが両立した“楽しいゴミ拾い”が10年以上も取り組まれています。
逗子ビーチクリーンでは、”Beach Clean is a Party”をコンセプトに、夏の海を楽しみながら、ゴミ拾いを続けています。
週末を使って、年代や性別、コミュニティに関わらず、たくさんの方が海辺に集結。ゴミ拾いという実際の行動を通した気付きや、環境問題について考えるきっかけをつくり、「遊びながらエコ」をこちらのイベントでは体現しています。
ただゴミ拾いをするとなると、どうしてもそこに集まる人に偏りが生じることがあります。しかし、逗子ビーチクリーンは違うようです。ゴミ拾いのアプローチを変えています。
2005年に夏季限定ライブハウス「音霊」との共催ではじまり、2ヶ月(7~8月)の開催期間、ライブと共にごみ拾いを継続。海や音楽を楽しむ中でどうしても出てきてしまうごみを、参加者で拾い集めるのです。
このようにエンターテイメント要素がゴミ拾いにあることで、参加する層にも幅が出てきますよね。
ごみ拾いは約1時間程の短期集中型となっており、だれでも気軽に参加できるようになっています。ちなみに、タバコや花火、ガラス類のゴミが多く落ちているそう(PIRIKAで落ちているゴミの詳細をチェックできます)。
活動終了後には、ちょっとした交流会もあり、根底にはやっぱり“楽しみ”が。スイカ割りやサンダル飛ばしなど、毎度違ったレクリエーションが行われ、遊びによる想い出づくりもセットとなっています。
過去には、「SATOUMI movememt」に参画しているアーティストとのコラボレーションしたゴミ拾い企画もあり、音霊との共催で進めているからこその色も感じます。
こちらの活動について、運営スタッフがブログレポート内で次のように語っています。
Beach Cleanをすることで、「ごみがたくさんある」ことに気づき、 Beach Cleanをきっかけに、「ごみを出さない」ことの大切さを知り、 Beach Cleanを通じて、「大量生産・消費社会に疑問」を持ってもらえればと。
逗子ビーチクリーンに参加してみたい方は、こちらのスケジュールをご確認ください。
逗子ビーチクリーンを手がけるのは、NPO「GoodDay」。“人と自然が共生できる社会”を目指し、都市部で暮らす若者向けの場づくりとして、イベントやツアーにおける“遊び”を入口に、環境問題について考えるきっかけを提供しています。
逗子ビーチクリーンは「逗子・葉山コミュニティビレッジ」の場づくりの一環として運営されています。その他にも、廃棄物ではあるヨットの帆を素材にバッグをつくる、 “アップサイクル”をテーマした企業・大学・地域での恊働プロジェクトがあり、こちらも海辺ならではの活動でしょう。
ゴミ問題を解決するには、大きくふたつのアプローチがあります。ポイ捨てする人を減らすこと、そして、ポイ捨てされたゴミを拾うこと。
その優先順位でいえば、ゴミ拾い人口が増えることも勿論大事ですが、ゴミを拾っても拾っても切りがなければ、元も子もありません。やはりポイ捨て人口が減るのが一番ですよね。
日本各地いたるところで開催されるゴミ拾いも、最終的には、ゴミを捨てない人を増やすことを目指しているようです。その点について、グリーンバード代表の横尾俊成さんは、次のように語ります。
横尾「ゴミ拾いしている人たちが目立って、街の風景のようになっている状態を作る。ゴミを捨てにくい環境をつくろうと考えました。あとは、とにかく多くの人にゴミ拾いに参加してもらうこと。ゴミ拾いに参加したことがある人はゴミを捨てませんからね」
参照
逗子ビーチクリーンでは“遊び”を織り交ぜることで、多くの人を巻き込んでいます。年齢、世代、国籍、性別問わずに、ひとつのテーマに対して人が集まり、同じ目的に向かって共に作業を進めるという試みは、まちづくりの第一歩のようにも思えます。
みんながゴミ拾いに参加したくなるアプローチとして、「楽しいゴミ拾い」「カッコいいゴミ拾い」のように「〇〇なゴミ拾い」の可能性はまだまだありそうです。みなさんは、どんなゴミ拾いに参加してみたいですか?
ゴミを一緒に捨てるという共犯でなく、ゴミを一緒に拾うという恊働がもっともっと増えたらすてきですよね。もしかしたら、それは小さな動きなのかもしれませんが、その積み重ねと広がりが、まちを大きく変えていくはずです。
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