2015.3.9
日本各地で、地域に住む人々に焦点をあてて紹介するメディアが登場してきています。
たとえば、issue+designが編集する人々との出会いを楽しむ旅のガイドブック、「COMMUNITY TRAVEL GUIDE」。こちらは島根県海士町や東北三陸地方などの特定の地域に住む人々を紹介し、地域経済活性化に寄与しています。
このように地域の人々にスポットライトを当て、その人の目から見える地域の魅力を語ってもらうことは、その地域の魅力を再発見することにもつながります。
こうした活動は地域に限った話ではなく、東京都の調布市でも、地域の魅力を発信するメディアと調布の人々が集まり交流するイベントを連動したプロジェクトが始まりました。
みなさん、調布というマチの名前の由来はご存じですか?
「調布」という名前は、昔の税金である租庸調の調(その土地の特産物を納める)で布を納めていたことに由来するそうです。
現在の調布市は、多摩地域の東側に位置する、東京都では人口が5番めに多い都市です。新宿から京王線で15分ほどで住環境が整っているため、都内に通勤する人々の「ベッドタウン」になっています。
調布駅前は昔は落ち着いた印象でしたが、再開発が進み大型のビルが建設されてきています。
「布の町」という名前の由来から名付けられた「Patchwork Chofu」は、「地域をつなぐ」をコンセプトとした、調布の今を伝え未来に残す地域メディアです。この名前には、
布のまち「調布」に住む人たちが、小さな布を縫い合わせて大きな一枚の布になるのと同じく、小さな暮らしのひとつひとつがつながって大きな仕合わせ(幸せ)を届けられるように
という願いがこめられています。このメディアで紹介されているのは、まちに住む「人」のものがたり。
「Patchwork Chofu」のメンバーが、農家や喫茶店のおばあちゃんなど調布市で暮らし働くひとへインタビューを行い、記事を掲載しています。
このプロジェクトは、代表の薩川良弥さんの「生まれ育った調布のまちに貢献したい」という想いから始まりました。
調布生まれ調布育ちの薩川さんは、昨年から調布に根付く会社と恊働でコワーキングスペース「co-ba chofu」の運営をしながら、地域の多世代が交流できる場づくりをしています。
薩川さんはこう語ります。
調布で面白い人に出会うたび、このまちへの興味も増して貢献したいと思ようになりました。
「人」という観点でまちを編集し、今まで当っていたスポットライトの角度を変えてみる事で、新しい価値を感じられる様なものをつくりたかったんです。
メディアと並行して、「Patchwork Chofu」では調布の人々が集まり交流するイベントも開催しています。
雑貨店店主や米作り農家、アトリエオーナーなど、調布の様々な取組みを行っている“調布の人”をゲストに招いているそう。毎月定員いっぱいの多くの方が参加し、世代を超えた交流が生まれています。
ここから何かしらの活動や事業を一緒に行う、「仲間」の関係性がもっとまちで生まれると良いと考えています。
それは個人的にも充実した暮らしに繋がるし、そこで生まれた連帯感は、これから立ち向かうべき少子高齢化社会で必要とされる「地域の助け合い」の関係を育むことに繋がると考えているからです。
今は、その為の土壌を一生懸命つくっているという薩川さん。「Patchwork Chofu」の活動は地域外に調布の魅力を伝えるだけでなく、このまちで過ごすひとたちの時間も何倍も魅力的で面白くしてくれそうです。
調布市で行われている新たな取組みに興味のある方は、ぜひこちらをチェックしてみてください。
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