2015.2.6
2014年4月に東京都あきる野市五日市で開催された野外音楽フェス「OTODAMA FOREST STUDIO」。その運営メンバー・ボランティアスタッフの「五日市をもっと楽しい街にしたい」という思いから生まれた「五日市ごえん分校」。夏休み企画「五日市の旅を考える」旅部ミーティングに続き、第5回目のごえん分校が開催されました。
今回から少しだけ形を変えたごえん分校。前半に活動の紹介(講義形式)、後半にゲストの考えるワークショップ(参加形式)をおこないました。
ゲストは島根県隠岐郡海士町(※)より、巡りの環 信岡良亮さん。今は活動拠点を東京に移し、自由大学で講義をしたり、都市と農村の関係を模索しながら活動をしています。
【※海士町とは?】島根県にある人口2400人程度の小さな離島。一時、高齢化と財政危機による基金残高の減少で存続の危機に陥るが、町職員、町民、Iターン(故郷以外の地域に就職すること)者が三位一体となって島全体の活性化を図り、新しい産業をつくり、新規Iターン希望者が集まるようになった通称「奇跡の島」。
海士町や他の地域と同様に、五日市もまた人口減少や商店街のシャッター化など多くの課題に直面しています。今回のごえん分校はこれまでの和気あいあいとしていた雰囲気ではなく、「まちづくり」に対して議論し合う真面目な雰囲気に。
「海士町はIターンが多いけれど、実際のところIターンを受け入れない、みたいなことはあるのか。そんな中、Iターンの人たちだけががんばっているのでは?」「CASなどの新しい産業が成功しているが、それは海士町が離島であり、海産物が豊富だからではないか。五日市のような山の町で同じように産業をつくるのは難しいと思う。」
など、Iターン施策、産業振興、政治手腕など、行政寄りの意見や質問が多く交わされ、これらに対して丁寧に答える信岡さん。
「うち(五日市)もやれることがまだまだあるかもしれない」「行政を動かすにはどうしたらいいか、自分は何ができるか」
と、講義内容を自分ごととして捉え、みんなだんだんと前向きになっていった様子でした。また、信岡さんの経験はいわゆる「よそ者」が「田舎」で「起業」したということでもあり、「巡の環」で何をやっているのか、どうやって収支をまわしているのかなどに対しても参加者は興味津々でした。
第二部のワークショップでは、「今から五日市でやりたいこと」をテーマに各自発表。
前半:じゃあどうやるの?と、やり方を質問する。
後半:相手がどんなことを考えているか、なぜやりたいのか、想いや有り様に触れる。
この二種類の方法で3-4人のチームごとに話し合いをしました。「思いを聞く方がポジティブな話になる」。「やり方の話をしてしまうと、誰がやる、とか、お金がないと無理とか、実行できないね、という話に流れがち。」と、話の聞き方1つでその後の意見の広がりが変わることを実感できたようです。
「空き家が増えてきているのを取り組んで行きたい。」「観光のプラットフォームをつくりたい。」「市役所の弱いところは、専門家が育ちにくいこと。特別事業は特命でやれるように仕組みを変えられたらいいな。」と想いを言葉にすることができました。
最後に信岡さん。
「どんな未来にいきたいのか、わかっていると、やり方を考えるフェーズに上がりやすくなります。『まちづくりについて集まってください』となると、まじめすぎたりするし、みんなかまえちゃうんですよ(笑)。
だから、違うことを学びましょうということにして、テーマがまちづくりの方が盛り上がることが多いですね。自分のやりたいことから始めないとうまくいかない。収益を出すまでにどうしても時間がかかってしまうので。想いから始めると未来につながりやすいですね。」
残念ながら途中で抜けてしまった方もいましたが、続きは海士町で!とつながりは続いていきそうです。
「五日市ごえん分校」の2015年2月の開催予定は2月8日(日)14時半から五日市地域交流センターにて。あきる野市の養蜂場が営む【みつばちファームカフェ】・鎌倉市の【食堂COBAKABA】の代表者2名が登場してトークセッションをおこないます。
書き手:Eriko NARUKI(ナルキエリコ)。千葉大学工学部建築・都市科学専攻修了。Studio-Lにて2012年海士町で”Iターンのための暮らしの手帳”制作。2014年エリアのリアルを伝えるエリアルに参画、移住フェス実行委員、Hitotowa・三井不動産と都市のコミュニティづくりに取り組む。グラフィックレコーダー。
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