2013.11.8
神奈川県鎌倉市の観光商工課は11月1日、クラウドファンディングを通じた観光整備プロジェクトの資金調達を開始しました。
クラウドファンディングとは、賛同するアイディアやプロジェクトに対して、誰でも簡単に寄付や少額のお金を支払うことができるネット上の仕組みのこと。 自治体が主体となり、公共事業のためにクラウドファンディングを用いて資金調達を行う試みは全国初として、注目を集めています。
協力するのは、国内最大級のクラウドファンディングプラットフォームである「Just Giving Japan」。同サイトは2010年3月に運営をはじめ、ノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授の研究や、三浦雄一郎氏の最高齢エベレスト登頂など、多くのプロジェクトを成功へと導いてきました。現在、寄付総額は10億円を超え、国内でも有数のクラウドファンディングサイトとなっています。
古き良きまち並みが広がる鎌倉。市内に点在する多くの名所を、迷わずに快適に観光するためには「観光ルート板」が必要不可欠です。鎌倉市内には140箇所に観光ルート板が設置されており、多くの観光客の道案内に役立っています。
「鎌倉をもっと多くの観光客に楽しんでもらおう」と資金調達をスタートした「かまくら想い」プロジェクトは、この観光ルート板を、鎌倉を愛するファンの人たちの力で増設しようというものです。ルート板を増やすには、1基当たり10万円が必要です。これを10基立てる計画(合計募集金額は100万円)で、クラウドファンディングはスタートしました。
一口1万円から寄付を募っており、そのお礼として、「自分の名前」が新設されるルート板に刻まれます。鎌倉ファンにとっては、この上ないギフトかもしれません。その証拠に、開始から一週間ですでに75万円が集まっており、目標金額に達成しそうな勢いです。
この3年間で、急激に日本に広がったクラウドファンディング。「Just Giving Japan」の他にも「READY FOR?」や「CAMPFIRE」など、国内では流通総額が“億超え”のプラットフォームが複数存在します。最大の特徴は、古くからの寄付方式である街頭募金などに比べて、若者が多く寄付に参加しているということ。クラウドファンディングを使って「自分たちのまちを自分たちのお金で少しずつ良くしていこう」という若者が増えていけば、「若者ばなれ」が深刻化していると言われている多くの自治体の“救世主”となりうるのではないでしょうか。自治体側にとっても、限られた予算をまちのひとたちの“想い”で補えることは、大変喜ばしいことです。
マーケティングリサーチ事業を運営する株式会社リビジェンの調査によると、クラウドファンディングの認知度は13%、利用経験者は4%と、まだまだ、日本で一般的な仕組みとはいえません。また、集まる金額も、アメリカでは一つのプロジェクトで億を超えるなど、EC感覚で利用する人や寄付文化が一般的だからこそかもしれません。
しかしながら、日本でも若者をはじめとする市民とまちとをつなぐツールとして機能し、多くの注目を集めていけば、近い将来、自分たちの手で「住みやすいまち」をデザインできる時代がおとずれるかもしれませんね。
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