マチノコト

2015.6.30

家族で囲める食卓を家のそとにも!まちのみんなでつくるもうひとつの食卓「都電テーブル」がオープン

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まちで暮らす家族も、今まで働きにくるだけだったオフィスワーカーも、みんなで美味しく健康的なごはんを楽しむことができる暖かな場所をまちにつくりたい。

そんな想いの詰まったプロジェクトが、東京・都電荒川線の向原で始まりました。まちのもう一つの食卓「都電テーブル」がクラウドファンディングを実施中です。

都電の走る懐かしい街並み

photo by 都電テーブル プロジェクトページ

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都電テーブルがあるのは、東京都豊島区の都電荒川線向原(むこうはら)駅。都電荒川線は都内で唯一の路面電車で、まちに暮らすひとたちの生活の足として息づいています。

乗降者数が多い池袋駅が歩ける距離にありながらも、どことなくほっとして懐かしさを感じる街並みで、家族連れも多く暮らすまちです。

自分たちの手でまちをつくっていく

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このプロジェクトを始めたのは、「株式会社メゾン青樹」の代表・青木純さんです。豊島区に生まれ育った青木さんは、入居者が好きなように部屋をカスタマイズし、自分らしい部屋をつくることができる”オーダーメイド賃貸”「ROYAL ANNEX」のオーナーをしています。

そのほかにも住まいに関することだけでなく、自分の住むまちを盛り上げていこうと、豊島区で暮らし働く様々なジャンルや世代の人を集め、 豊島区のさまざまなヒトやコトを紹介しながら参加者同士の交流を生むサロン型イベント「としま会議」を主催。

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今年の3月には、先日マチノコトでも紹介した遊休不動産を活用してまちづくりに取り組む「リノベーションスクール豊島区」も開催し、たくさんの若者が参加しました。

青木さんはまちでの暮らしを楽しみながら、自分たちの手でまちをつくっていく様々なコミュニティを生み出しています。

まちの中に家族で安心して過ごせる場所を

photo by 都電テーブル プロジェクトページ

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青木さんは結婚して家族で暮らすなかで、「まちに家族で過ごせる場所が少ない」ということに気付いたそうです。

子どもと一緒に出かけると、子どもが走りまわって遊んだり泣いてしまったりして、どうしても周りに気を使ってしまう親御さんが多いと思います。そうなると子どもを連れてご飯を食べにいけるのは、ファミリーレストランくらいしかありません。

「子どもを安心して連れていけるお店がほしい」という思いは、青木さんだけでなくまわりのお父さんお母さんの願いでもありました。

そしてあるお母さんは、まちで働く場所がなく、未就学の子どもを預けて往復二時間かけて通勤していることを知りました。他にも、週1日しか時間がないけれど働きたいと思っているお母さんもいたのだそう。

暮らすまちで働けるようになったら、そして「仕事に人を合わせる」のではなく「人に仕事を合わせる」ことができたら、お母さんたちが働き続けることができるかもしれない。

そう考えた青木さんは、家族連れが安心して利用できて、そこでお母さんたちが自分に合った働き方ができる食堂をつくることを思いつきます。

まちの人々と一緒につくる都電テーブル

青木さんは仲間に呼びかけ、都電テーブルの思いに共感した飲食店経営、産直商店、建築設計、不動産を専門とする4人のメンバーで「都電家守舎」を立ち上げました。

photo by 都電テーブル プロジェクトページ 左から、馬場祐介さん(目白なるたけ)、安井浩和さん(こだわり商店)、嶋田洋平さん(らいおん建築事務所)、青木純さん(メゾン青樹)

photo by 都電テーブル プロジェクトページ
左から、馬場祐介さん(目白なるたけ)、安井浩和さん(こだわり商店)、嶋田洋平さん(らいおん建築事務所)、青木純さん(メゾン青樹)

このメンバーで話し合いを重ねてつくられたのが、まちのもう一つの食卓「都電テーブル」です。

青木さんが都電テーブルの構想を伝えていくと、まちに暮らす人々の中にも、徐々に共感してくれる人たちが現れた。

料理を盛りつける皿をまちの人が100枚以上も譲ってくれたり、とある図書館で使われていたビンテージの椅子を提供してくれたり。看板も、豊島区に住んでいるご友人が作成してくれたのだそうです。

photo by 都電テーブル プロジェクトページ

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こうして2015年4月4日、都電テーブルは「初まりの始まり」と題して、プレオープンしました。実はこの日はまだ、食器も足りなければ、定番メニューもありませんでしたが、ここにも青木さんの「小さくオープンして、店を訪れてくれるみなさんと最後の仕上げをしていけたら」という思いがありました。

「こういう場所がほしかった」と小上がりを利用してくれるお母さんたちがいます。「もうひとつの食卓みたい」と昼も夜も利用してくれる街の人もいます。「両親を連れていける店ができてうれしい」と話してくれた人もいます。

「小さいお子さんのためにおにぎり握ろうか」「お茶の時間があったらいいね」「スイーツもつくろうよ」そんなふうに、スタッフ同士で話し合いながら、メニューも増えてきました。

都電テーブルで出会った人がお互いに関わりあい、自分をいかしていけたらうれしいです。

photo by 都電テーブル プロジェクトページ

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クラウドファンディングを実施中

現在青木さんは、都電テーブルをより一層まちに根付かせていくために、クラウドファンディングを実施中です。

都電テーブルの外看板作成、WEBサイトのリニューアルのほか、店内にコミュニケーション棚を設置するそう。都電テーブルの食材を提供してくれている一人ひとりの生産者とその地域に関する書籍を揃え、生産者のストーリーを紹介し、お客さんと生産者が出会うきっかけの棚をつくる予定です。

photo by 都電テーブル プロジェクトページ

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プレオープン前、「都電テーブルがこんな場になっていけばいいね」と話していました。

「キッチンでは、お母さんたちが食材片手にわいわい、あたらしいメニューを話し合っている。家に寝に帰るだけだったオフィスワーカーが、まちを楽しみはじめる。そんな大人の背中に触れて、子どもも育っていく」

いきいき仕事したり、ちゃんとご飯を食べることは、自分の暮らしを楽しむことにもつながる。都電テーブルがはじまり、あらためてそう感じます。今回のクラウドファンディングは、一つのはじまりだと思います。

自分たちにとって心地がよい居場所を、自分たちで協力してつくりあげていくこのプロジェクト。

美味しいご飯が食べれる場所というだけでなく、まちで暮らすことがもっと楽しくなるコミュニティを生んでいくのではないかと思います。関わる人々の想いのつまった「都電テーブル」は、まちとそこに住む人々の関係性を再構築し、まちに新たな居場所をつくっていくことでしょう。

このように、そのまちに住む人が持つ個性の活かされた場所が増えていくことはとても素敵なことだと思います。

クラウドファンディングは、目標金額を200万として2015年8月7日まで行われます。関心のある方は、ぜひこちらのプロジェクトページをご覧になってみてください。

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工藤瑞穂。 「soar」プロジェクト代表・編集長、「HaTiDORi」代表、ダンサー、元日本赤十字社職員。1984年青森県生まれ。宮城教育大学卒、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム修了。NPO法人ミラツク研究員、Webメディア「マチノコト」ライター。

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