マチノコト

2016.2.24

東日本の震災から5年。新しいまちの防災拠点のかたちを提案する「柏まちなかカレッジ」防災イベントレポート

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みなさんは、社会における信頼関係やネットワークの重要性を説く概念のことを指す「ソーシャルキャピタル」という言葉をご存知ですか?このソーシャルキャピタルが高い地域ほど、災害時における人々の協調行動や災害復興のスピードが速いと言われています

全国で広がりつつある「コミュニティカレッジ」も、ソーシャルキャピタルの構築につながる活動のひとつ。こちらの記事でもご紹介した「柏まちなかカレッジ」の累計開催数が200回を迎えるにあたり、2015年12月12日にセレクトショップ「iii3(アイスリー)」とともに防災イベントを開催しました。今回は、このイベントの模様をレポートします。

実際にまちに出て、まちの人と学ぶ機会をつくる

「柏まちなかカレッジ」は、柏市市議会員である山下洋輔さんをはじめ、元高校教師、サラリーマン、ライターなど、柏で働きながら生活する人たちが集まり、月に2、3回開催されているイベント。参加者によってつくられる市民学校を目指していることから、会費を取らずに運営しています。

山下さん「インターネットで買いものができるのに、なぜ、まちに出てくるか?対話や予期せぬ出会いがあるからだと思うんです。柏のまちなかに、コミュニケーションの仕組みをつくりたい思いがあって活動しています。 経営者の考えを知り、その店のファンになったり、コラボレーションが生まれたり、自分の居場所ができたり、そんなきっかけになれば嬉しい。」

防災拠点となるお店に

今回セレクトショップ「iii3」のクリスマスイベントと、今回の防災イベントを同時開催した目的について、同社の代表取締役である田中庸介さんはこう語ります。

田中さん「3.11の時に交通機関やライフラインが止まってしまったことで、普段話さないような人と話せたり、繋がりができたりしましたよね。そこで、季節問わず一年中楽しむだけで終わってしまっていたキャンプなどのアウトドアレジャーに参加する人たちの集団を、緊急時に集まれるようなコミュニティに転換できるようなイベントにしたかったんです。

外出時にいきなり地震が来たら、水や食料を家に取りに帰らずに、近くの公民館や小学校へ行きますよねしかし、柏に集う、まだ地域に暮らして日が浅い20代から30代の人々は、災害時に行き場所に困ってしまうのではないか。そういう時に、普段仲間たちと集まっている場所に行けば、誰かいるんじゃないか、ご飯が食べられるんじゃないかとなる。

常にレジャー感覚でやるイベントこそが、何かあった時に役立つコミュニティになるのではないかということで今回企画しました。」

山下さん、田中さんの思いから、イベントが行われたのは「iii3」の駐車場。人が集まり、話す場ができれば、どこでも学校になるまちなかカレッジのように、地域の人がいざという時に集まれる場所は、小学校や公民館のような定番の場所でなくても良いのかもしれません。

イベントでは、非常時に明るい気持ちになれるようなアウトドアグッズを販売したり、シンボルとなるアート作品の展示も。また、いざという時に協力できるコミュニティをつくるには、みんなで料理を囲むことが一番ということで、おでんや豚汁などの非常食の炊き出しが実施されました。

日常からつながりをつくることが、いざという自体に備えることにつながります。みなさんの地域では、常日頃からコミュニティで協力体制をつくろうとしていますか?今年で震災からまる5年。改めてコミュニティの関係性や防災について考えてみませんか?

(書き手:松尾沙織

編集部マチノコト

マチノコト編集部

コミュニティデザインやまちづくりをテーマにしたメディアプロジェクト『マチノコト』編集部のアカウントです。

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