2014.4.18
いま、宮崎県の南端の町、日南市がにわかに熱気を帯び始めています。
日南市の「obisugi-design世界展開プロジェクトチーム」が、地域×クラウドファンディングFAAVOにて、日南の地域資源「飫肥杉(おびすぎ)」の世界への販路開拓を目指すプロジェクトに挑戦。325万円もの支援を集め、飫肥杉工芸品「obisugi-design」のニューヨークギフトショー進出が決定したのです!
プロジェクトのメンバーは、NPOまちづくりGIFT斉藤潤一氏、日南市マーケティング専門官田鹿倫基氏、日南市役所飫肥杉課河野健一氏をはじめとした面々。元気をなくしてしまった地域資源の復活をかけ、まさに自治体、企業、NPOが三位一体となって取り組んだ背水の陣でした。
かつては人々の経済の活力として大変賑わっていた飫肥林業ですが、日本中の林業事情に違わず安い外国産財や工業製品に押され、衰退。次第に勢いを失っていきました。
そんな現状を憂いて、飫肥杉を日南の資源として復権させるため2007年に結成されたのが「日南市役所飫肥杉課」。飫肥杉の可能性を信じ、飫肥杉を核とした町づくりを進めるために、市役所職員から有志を募って結成された組織です。
本気で飫肥杉林業を復活させようとしている彼らの姿は多くの人の心を惹きつけ、職人、地場産業、東京の大企業、デザイナーなど様々な職種の人が集まりました。それぞれが専門分野の力を惜しみなく発揮し、飫肥杉の柔らかく素朴な性質をそのまま活かした飫肥杉工芸品「obisugi-design」が誕生。
ここから「obisugi-design」を生かしたまちづくりがスタートしました。
飫肥杉課の地道なプロモーションは少しずつ県内に根付いていき、企業、NPOと、メンバーの層は徐々に広がりを見せてきました。そして、夢は大きく世界へ。斉藤氏を中心とした「obisugi-design 世界展開プロジェクト」が始まったのです。
FAAVOのプロジェクトを軸として、彼らは飫肥杉を広い世代に広めるために様々なアクションを起こしました。
1月には宮崎近隣の女子大生を対象とした「obisugi design ×女子大生 世界展開に向けた作戦会議」を開催。地場産業の全面協力のもと飫肥杉林や原木市場の見学、obisugi-design職人のトークイベントなどを行い、大学生にも林業を身近に感じてもらう機会を作りました。
2月には東京の内田洋行で宮崎出身者や林業関係者約100名を招いて、イベント「杉祭りin東京 みんなで杉の魅力を伝えたスギ!」を開催。obisugi-designに関わったデザイナーたちが講演でそれぞれに町おこしの持論を展開しました。
「宮崎を離れて随分立つが、地元が今こんなに元気になっているとは知らなかった」
という宮崎出身者の感動の声があちらこちらで聞かれました。
飫肥杉課の河野健一氏は「飫肥杉仮面」として自分が楽しみながらプロモーションを展開。飫肥杉が親しみを持って愛されるきっかけを作りました。
そして、このプロジェクトには行政も全面協力。イベントに副知事が出席したり、崎田日南市長がプロジェクト推進の会見を行ったり、支援のお返しには崎田市長との食事会まで!
自治体と大企業、職人、NPO、そして宮崎を愛する支援者。
いつの間にか市民も巻き込み、みんなが職種の垣根を越えて、飫肥杉復権という一つの目標に向かって動き出していました。
メンバーの地道な活動の積み重ねにより、ここ数年で飫肥杉の知名度はぐんとあがりました。そして、このようなプロモーションやイベントを続けていくことで、地域と東京が融合していき、自分たちでも地域を盛り上げようと市民が自発的に動き出しています。
そして、クラウドファンディングの成功によって、ヒト・モノ・カネが不足している地域からでも、強い想いがあれば道が拓けることを証明しました。町づくり、モノづくりの理想的な姿がここにあるのかもしれません。
「地方発、世界着」の挑戦は、240名325万の支持によってようやくスタートラインに立ちました。「NICHINAN」「OBISUGI」という文字が、ニューヨークのど真ん中で息吹を与えられどんなふうに輝くのか、今後の展開に注目です!
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