マチノコト

マチノコトでは、これまでにもクラウドファンディングを通じた地域の空きスペースを有効活用する取り組みを紹介してきました。

全国の至る所で課題となっている「空き家」。課題解決のため、さまざまなアプローチがなされている中、クラウドファンディングが注目されています。

地域クラウドファンディングサービス「FAVVO」でもまた、新しく兵庫県の城下町における空き家問題解決を目指した資金集めがスタートしました。

兵庫県龍野市は、今からおよそ500年前の江戸時代に龍野城が築かれた歴史ある街。500年たった今でも、歴史ある町家が城下町として栄えた土地に連なっています。

歴史が残る龍野の城下町でも、住民の高齢化が進み、ここ数年で急激に空き家が増え、歴史ある旅館や町家が取り壊されており、深刻な課題となっています。

事業をたちあげたい人に空き家を

空き家が増え建物が取り壊されていく中で、城下町が消えていく。

この問題を解決したいという思いから、カフェや雑貨屋、カルチャー教室などの事業を立ち上げたい人に空き家を再利用してもらうプロジェクトがスタートしました。

今回のプロジェクトの発案者であるNPO法人「ひと・まち・あーと」は、10年前から龍野の城下町の地域活性化に携わってきた団体。

彼らは10年間の活動の中で、城下町の活性化には「カフェや雑貨店、カルチャー教室が複合的に面で展開する環境づくりが必要」と感じたそうです。そして、「地域の空き家と新しく事業を立ち上げたいチャレンジャーを結ぶことができないだろうか。」と考え、プロジェクトスタートに至りました。

事業にチャレンジしたい人が持つ不安

しかし、事業を立ち上げたいチャレンジャーを集めるにあたって、こんな声が寄せられたそうです。

• 自身が考えているお店が地域に受け入れられるのか
• そもそもニーズがあるのかどうか
• 不動産にも載っていないような空き家はどうやったら借りられるのか
• 出店後にご近所との付き合いは上手くいくのだろうか

空きスペースのお試し営業

こうした不安を解消すべく、「ひと・まち・あーと」が城下町活性化の拠点として使用しているコミュニティスペース「Toilinks」にて、お試し営業をしてもらう新たなプロジェクトが始まりました。

「Toilinks」は築83年の長屋を改築し、普段空きスペースはコアワーキングスペースとして一般の人に開放していた施設。

このプロジェクトでは、空きスペースの１部にチャレンジショップ制度（事業立ち上げまでの一定の期間、安価な家賃で場所を借りることができ、営業までの支援する制度）を設けることで、事業を立ち上げたいチャレンジャーにお試し営業してもらい、空き家での営業開始に繋げることが目的とのこと。

「お試し営業」を試みるチャレンジャーへのメリット

今回、お試し営業を試みるチャレンジャーには、「Toilinks」を利用するにあたって

• 事業に合った空き家の紹介、改築の相談に乗ってもらうことができる
• 地域の方との接点の場となり、信頼関係を構築できる
• 城下町での店舗運営のノウハウや地域のニーズを知ることができる
• 事業をスタートするオーナー同士が連携をとるきっかけとなる

などのメリットがあり、お試し営業を経験することで、先述したような空き家での事業立ち上げに対する不安を解消することが期待できそうです。

また、お試し営業を終えたチャレンジャーが実際に空き家で店舗営業を開始するまでに発展することで、「空き家問題の解決」「城下町の活性化」に繋がることがこのプロジェクトの狙いです。

飲食営業をチャレンジする環境を整えたい

「Toilinks」では今年11月からカメラ教室や食育講座などのチャレンジショップが実際にスタートし、来年3月にはカフェなどの飲食店に関わる事業もスタートさせたいとのこと。飲食店営業には、キッチンの整備が必要不可欠。

しかし、「Toilinks」には飲食店が営業できるための設備がまだまだ不十分であり、集めた資金で営業許可がおりる必要最低限の設備にかかる費用をクラウドファンディングで集めようとしています。

今回の目標金額は50万円。空き家で本格的に起業する前にワンステップを設けることで、起業のハードルを下げることや地域住民と起業家との信頼関係を構築することに繋がるのではないか、という点でも注目したいプロジェクトです。

「Toilinks」で事業にチャレンジしてみたいという方も随時しているとのこと。関心を持たれた方はこちらのプロジェクトページをご覧ください。