マチノコト

2015.11.10

市民の手で作る理想のライフスタイルーー公園にアウトドア図書館をつくる「Urban Picnic」の第2回目が開催!

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–「都市の公園に図書館をつくる」

いつもは人が通りすぎるだけの公園が、美味しいコーヒーの匂いが漂うなか、ゆったり芝生で本を読んだり語り合う市民の憩いの場所になる。

このユニークなアイデアが全国で反響を呼んだ、兵庫県神戸市で公園を市民の交流の拠点とするアウトドアライブラリーは、今年の6月に開催したところ、たくさんの人が訪れ大盛況に終わりました。

マチノコトでも開催前開催後の振り返りを記事として取り上げさせていただきました。

アウトドアライブラリーとファーマーズマーケットの二本だてで行われた「Urban Picnic」は、単発開催で終わってしまうイベントが多いなか、市民発のアイデアに行政も協力する社会実験として開催されました。この秋には、前回の経験をもとにして二回目の取り組みが行われています!

公園の可能性を探る社会実験

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神戸市の中心にある公園「東遊園地」を、「市民のアウトドアリビング」として活用するとともに、神戸の都心全体の価値向上につなげる可能性を目的として行われるこちらのプロジェクト。

第一回目の開催期間中は公園に芝生を敷き、市民が寄贈した本でつくったアウトドアライブラリーとパンやコーヒーを提供するカフェを設置。本棚を管理する本棚オーナーを募集し、市民との交流会を開催することで、訪れる人々のつながりを生んでいきました。

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また週末にはファーマーズマーケットも開催し、神戸市内で生産されている季節の食材を紹介し、生産者と市民が交流する機会をつくりました。

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事務局長をつとめる村上豪英さんはこう語ります。

芝生やカフェがあることで公園が過ごしやすいところになるだけでなく、本が重要なアイテムになることを発見できたのが前回の特徴だと思います。今まで東遊園地はオフィス街の中心にあったために、市民の公園としての愛着を感じることは少ないところでした。公園に限らず、公共空間をシェアするためには、その前提として空間に愛着がなくてはなりません。

本を寄贈することによって、自分の気持ちを公園に残し、一冊分だけ公園をよりよい場所にするアクションに参加する。それが、愛着を育んだと思っています。

さらに幅広いセクターを巻き込んで

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第二回目の社会実験は、公園活用の可能性をさらに一歩進めていくために10月から11月の期間で行われます。アウトドアライブラリーを今回も開催するほか、今回はいくつか新しいチャレンジをしていきます。

ファーマーズマーケットを6週連続で開催

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前回土日の2日間開催したファーマーズマーケットは、遠方からの来場者が多数を占めていたのだそう。継続していくためには、地元の市民が継続的に利用したり、地元の飲食店オーナーが仕入れに活用してくれることが大切だと考え、その可能性を確認するため、より日常的な6週連続開催という企画になりました。

週末の朝、犬の散歩やランニングの途中で立ち寄り、顔見知りの農家さんとの会話を楽しみながら新鮮な果物や野菜を買いこむ。

そんなファーマーズマーケット文化を発信し、都市部と農村部が近接している神戸ならではのチャレンジとして、「消費者が生産者をサポートしていく」という考えを広めていくことを目指すそうです。

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ファーマーズマーケットは先週まで6週間連続で開催され、生産者の考えや夢を顔を合わせて聞くための場として「トークテーブル」を開設するほか、食や農に関してのトークセッションなどを行う「食育イベント」も開催しました。

企業や非営利団体等が様々なプログラムを実施

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今回から、神戸市民が非営利で運営している市民大学による学びの場、詩の朗読会やDIYワークショップ、太極拳やヨガ、スケッチや公園ピクニックなど、だれでも気軽に参加できる小さなプログラムを多数開催する予定です。

公園を利用するには全ての開催内容を決定してから使用許可を申請しなければならず、多大な時間コストがかかるため、小規模なプログラムを企画する人にはハードルが高すぎました。

将来の公園利用を考えると、管理者である行政に変わって、小さなプログラムをコーディネイトすることが求められます。このため、今回の社会実験では「小規模なプログラムのコーディネイトを実行委員会が担う」ことを認めてもらって使用認可を受けています。

将来の公園活用のコーディネイト機能を試してみることを目指して、幅広いセクターの人たちがこの社会実験に関わり、楽しみながら市民が交流できる機会をつくります。

プログラム情報を一元化したwebサイトを開設

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公園が雑多なイベントがつめこまれた会場となるのではなくて、公園の価値を高めるためのコーディネイトをしていくという目的から、プログラム情報を集めたwebサイトが開設されました。

これによって公園で開催される各種イベントの広報媒体になるだけでなく、公園の広報が一元化されることで情報が得やすくなり、より市民が足を運ぶきっかけをつくってくれることでしょう。

公園を市民の第2のリビングルームに

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今回の社会実験について、村上さんはこう語ります。

今回の開催では、将来の東遊園地の有効活用に向けて、6月の第一回目では実験できなかったことを試しきるつもりで企画しています。神戸都心部の活性化に向けて、まさに中心に位置する東遊園地のもつ可能性はとても高く、芝生化など大きな方向性は行政とも共有できていると感じます。

来年以降に、長期的な社会実験や運営の見直しなど、次のステップに進めるよう、試せるところは全て試し、神戸市役所と成果を共有したいと考えています。

新しい神戸でのライフスタイルを提案していくこのプロジェクトでは、市民のアイデアがまちづくりに活かされ、さらにプロジェクトの進行をとおして市民のコミュニティが生まれていっています

。

「自分たちの理想的なまちと暮らしは、自分たちでつくる」ということが大切だと、このプロジェクトは教えてくれるように思います。

今回も20組の個性豊かな本棚オーナーが集まり、市民からこだわりを持って選ばれた本が多数寄せられているそう。企画から会場設営、運営まで市民の力で成し遂げられ、ひとつひとつのコンテンツに想いがこめられたこのポジティブな場から、今回はいったい何が生まれるのでしょう。とても楽しみです!

ファーマーズマーケット6週連続開催はすでに終了しましたが、アウトドアライブラリーは明日11月11日(水)からスタートです!関心を持たれた方は、ぜひ訪れてみてくださいね。

詳細はこちらからチェック。

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工藤瑞穂。 「soar」プロジェクト代表・編集長、「HaTiDORi」代表、ダンサー、元日本赤十字社職員。1984年青森県生まれ。宮城教育大学卒、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム修了。NPO法人ミラツク研究員、Webメディア「マチノコト」ライター。

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