マチノコト

2014.8.18

多様な価値観を理解する社会をめざして:大阪・淀川区、LGBT支援事業として、啓発活動やイベントを行うコミュニティスペースを展開

2013年9月にLGBT支援宣言を発表し、区役所にレインボーフラッグを掲げるなどのLGBTに対する積極的な活動を行っている大阪の淀川区。

その淀川区が、今度はこの7月から2015年3月まで、LGBT支援事業を実施し、LGBTの方々と区職員との意見交換、民間企業や官公署職員向けの啓発活動などを行うコミュニティスペースの運営をスタートしました。

この事業では、おもに4つの事業を展開しています。

・意見交換:毎月異なるテーマを設定し、LGBT当事者との意見交換を行う。
・啓発活動:3月までに合計6回の講演・研修会を行う。ワークショップなども実施し、本事業の取り組みもニュースで発信していきながら、LGBTに対する意識を高めていく。
・電話相談:LGBT専用の電話相談を行ない、日々の悩みなどを相談できる窓口を設置する。
・コミュニティスペース運営:コミュニティスペースを区民に開放し、誰もが自由にくつろげる場所を提供する。スペース内には、LGBTに関連した書籍などを閲覧することができる。

また、コミュニティスペースの情報や電話相談などについて、Twitterアカウント@nijiyodogawa でも日々発信しています。

民間出身の榊正文区長は、めざすべき将来像として「個が自立し、人間の尊厳・人権を守る」という「淀川区将来ビジョン」を掲げています。人間としての価値観の多様性などを理解する取り組みの一つとして、昨年の「LGBT支援宣言」、そして今回の「LGBT支援事業」を位置づけています。

「この事業は、日常の社会生活で苦しんでいるLGBTの当事者や周囲の方々からの相談を受ける体制をつくり、「見えない」困窮者に対して支援の姿勢を「見せる」ことを目的としています。LGBTに関する正しい情報を発信することで淀川区に関わるすべての人が少数者の人権を尊重できるようになり、LGBT当事者が誇りを持って暮らせるだけでなく、多様な方々がいきいきと暮らせるまちを目指します。」(特設サイトから引用)

コミュニティスペースの情報や事業の目的、ニュースレター申し込みなどは、特設サイトから見ることができます。ぜひ、興味がある人は、コミュニティスペースに足を運んでみたり、イベントや講演などに参加してみるといいかもしれません。行政がこうした人の多様性を理解するために、宣言やこうした事業を取り組むことは、日本ではまだまだ事例が少ないですが、こうして積極的に取り組む自治体が少しでも増えていくことを期待します。

コミュニティスペース概要

LGBTコミュニティスペース
ウェブサイト
http://niji-yodogawa.jimdo.com/
大阪市淀川区十三東 2-6-7 徳島ビル1階ダイバーシティラボ大阪セミナールーム
http://d-labo-osaka.com/

江口 晋太朗

Shintaro Eguchi

編集者/ジャーナリスト。TOKYObeta Ltd 代表、マチノコト理事、inVisible理事、日本独立作家同盟理事。著書 『日本のシビックエコノミー』『ICTことば辞典』『パブリックシフト』など。1984年福岡県出身

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